2002.04.24
NYの日本人俳優(7)

アメリカ人のジャパン

 2年以上前に撮った映画がこの4月に一般公開された。

 New York First Run Film FestivalというNew York大学主催の映画祭(学生映画の世界ではかなり有名)に正式招待され、そこで初めてスクリーニングがおこなわれた。「SHADOWPLAY」と言うこのタイトルの映画は、広島に原爆が落とされた瞬間を描いた15分のアニメーション映画で、その中で私は声の出演をしている。監督もスタッフも全員がアメリカ人で、4人の役者(声)だけが日本人というかたちで撮影がスタートたのは1999年。各キャラクターは粘土で作られているいわゆるクレイメーション(Claymation)というやつだ。

 アメリカ人が作った原爆を、アメリカ人の映画監督がアニメーションという手法を用いて映像で表現する。戦後57年たった今戦争を知らないアメリカの青年があえて原爆という題材をテーマとしたのにはなにを意図とするのか。そしてこの映画がいったいどのように現代の日本人に映るのか、日本での一般公開を強く望む。

 ちなみにこの作品は今年からスタートするTRIBECA FILM FESIALにも正式招待される。

 ここ1ヶ月私は舞台を二本掛け持ち、その稽古と公演で忙しくしていたがそれもすべて終わり一段落したところだ。

 一本は「PHILOMELA」というローマ神話の「PHILOMELA」と能楽の「井筒」を合わせた作品で、私はその舞台で「井筒」の中の上歌(アゲウタ)とサシコエの一部を日本語で演じた。この作品の創案と演出はアメリカ人の女性で「井筒」と「PHILOMELA」のストーリーの類似性に興味を持ったらしい。

 はっきり言って能楽師でない私が能楽の作品を演じるのに抵抗はあった。しかし芝居じたいは能楽ではない、そして日本人俳優として日本語でアメリカ人の演出する舞台に臨み、アメリカ人の観客にどう受け入れられるか興味があったので挑戦した。

 もう一本は「THE VELVET RUT」という超アメリカ的アバンギャルドな芝居で、日本人の役など無かったが、私はASSHOLE MIKEというキャラを演じ自分で言うのも変だが意外と好評で、5月11日から6月15日までの6週間、毎週土曜日の11PMというほとんど深夜の時間帯に再演されることになった。芝居は1時間30分あるから、終わって劇場を出るのは午前1時ごろになると思うけれど、そんな時間にいったい客は来るのだろうかとちょっと考えてしまう

 私が今度の仕事で関わった、舞台と映画の二人の若手アメリカ人ディレクターは、どちらも日本の素材を彼等の作品に取り入れ、それを巧みに彼等のスタイルに創り変えている。そして出来上がった作品はけっして真似事になっていない。

 やっぱり私は何処にいようが日本人なんだ、、、!

(つづく)


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