福岡演劇事情

(3) 1999.4.06 「演劇に関する情報がない!」

 福岡に来てまず困ったことは、「演劇に関する情報がない」ことでした。首都圏にいる頃に私がいちばんあてにしていた情報源は、実は新聞でした。「週末のイベント」欄とか、プレイガイドの発売広告。チケプレに応募して、招待券をもらったりもしていました。

 ところが、福岡では新聞がほとんどあてにならない。あとになってわかるのですが、これは私が埼玉にいたときと同じ全国紙を取っていたためでした。全国紙だから、首都圏の公演情報が手に入るかというと、そうでもない。劇評も、どうせ地方だからわかんないだろ、と思うんだかどうだか、1ヶ月に一回くらいしか載らない。頼れるものは「シティー情報ふくおか」だけだけれど、その情報量の少なさと、さらに当時私は北九州市民だったこともあり、お金を出してまで「ふくおか」買う意義を見いだせませんでした。

 昨春に引っ越して、新聞を地方紙に変えたのですが、地方紙の方が文化面は何倍も充実していました。私は夕刊しか取っていない変わり者なのですが、夕刊だけで九州近県の公演情報・チケット発売情報はおろか、東西の舞台情報、果ては「今週の世界の舞台」までがわかってしまいます。劇評も充実していて、カラー写真入りででかでかと載ります。しかも、評論家の劇評ではなく、地方から芝居見物に上京した記者の感想文という感じで、なんだか身近。さらに、いつも「九州」にこだわる。たとえば、NODA・MAPの「RIGHT EYE」なら、「作・演出の野田は長崎県出身で、出演の牧瀬は福岡市出身」とか、「半神」なら「原作の萩尾は福岡県大牟田市出身、出演の深津は大分県出身」という具合。

 おそるべし地元パワー。地方の文化の一翼は、確実に地元新聞が担っているのだと感じる今日この頃です。

(つづく)



top
back
next