2008年4月第3週

 平成20年度の授業が始まった。ほぼ全クラスを回る最初のオリエンテーションは怒涛のように動き回っていたが、通常の授業になると、ちょっと落ち着いてきた。やはり、事務的なことをやっているより、授業の方がいい。特に、基本的なことをしっかり覚えさせていく授業は好きだ。実は、ここで割と先が見えてくる。つまり、基本的なことをきちんと覚えていく子は、その後伸びていくが、ここを疎かにしている子は、その後もあまり変わらない。これは、はっきりしている。まずは、身体や心、頭(考え方)の柔軟性、声量、滑舌、そして、礼儀や態度。はたして、今年は何人が次の段階に進めるか。

 さて、前回書いたように、3月最後の週末に1泊で、癒しの温泉の旅に行って来た。場所は群馬県の山奥、もうすぐ新潟県というところにある宝川温泉だ。宿は汪泉閣。宝川温泉には旅館はここ一軒しかない。ここに行くのは、おそらく3回目。最初は、かなり小さい頃に連れて行ってもらった記憶があり、祖母と一緒に写っている写真もある。とにかく大きな露天風呂と吊り橋と熊がいた記憶はしっかり残っている。2回目は今から22、3年前。当時、仕事をしていた日テレの関係者と、螳螂の何人かと一緒に団体で行った。宴会と麻雀と温泉三昧だった。その後、また行きたいとずっと思っていたのだが、なかなか行く機会に恵まれず、汪泉閣のホームページで日本一の広さを誇る露天風呂の写真をうらやましげに見るだけだった。そして、去年、この仕事になり、学校が休みになる3月に休みが取れることになり、今年、思い切って行くことにしたのだ。初めは、家族全員で行こうと思ったのだが、長男は高校時代の吹奏楽の定期演奏会にOBとして出るための練習、次男は1泊で甲子園に高校野球を観に行くために行けず(青春18きっぷで行き、天理・華陵戦と沖尚・明徳戦を観て来た)、結局、私と妻と三男の3人で行くことになった。

 30日の日曜日の朝、車で家を出発し、16号を北上し、八王子、福生、入間を通って圏央道に入り、鶴ヶ島Jctから関越自動車道に入って水上インターで降りた。家から約3時間。水上で昼食を取るために、「みなかみの森」というところに寄り、トリックアート美術館に入った。ここがなかなか楽しかった。平面のはずの絵が立体的に見えるのだ。これは舞台美術にも使えると思った。いや、もう使ってるかな。そこで上州うどんセットを食べ、近くの利根川べりの遊歩道を歩き、まだ雪化粧の残っている谷川連峰を眺めた。それだけで癒される気分になる。いや、気分だけじゃなく、きれいな空気を思い切り吸って、身体もリフレッシュされた。

 そこからさらに山奥に入り、湖底に160戸の民家が沈んでいる藤原湖の横を通り、2時過ぎに汪泉閣にチェックインした。さっそく、自然の中の露天風呂では日本一の広さを誇る温泉に入った。混浴の露天風呂(女性は旅館で出してくれるバスタオルを巻いて入る)が3つに、女性専用の露天風呂が1つ。すべて渓流沿いにあり、周りにはまだ雪が残っている。川を挟んで大きな露天風呂があり、裸のまま、吊り橋を渡って移動することも出来る。もちろん、私も三男も小さなタオルだけ前に当てて移動した。移動する時は裸足なので(下駄を履いてもいいのだが)、足が冷たくなるが、温泉にドボンと飛び込むと生き返る。いやぁ、とにかく、広いし、周りの風景はいいし、川のせせらぎも耳に心地よく、温度もちょうどいいし、最高の温泉だ。家族連れや年寄りばかりかと思ったら、若いカップルも結構いて、一緒に入っていた。そうそう、外人もいた。結局、のんびりと長い時間温泉に浸かり、夕食(これも山里炭火料理と熊汁という、普段食べられないような料理だ)を食べた後にまた入り(24時間入れる)、翌朝も朝食の後にまた入った。まさに至福の温泉三昧の二日間だった。大晦日から正月にかけて、海外に出掛けるのもいいが、温泉でのんびりするのもいいと思った。今年の暮れは家族みんなでここに来ることも考えようかな。箱根や伊豆の高い温泉旅館に比べると、かなりリーズナブルだし、とにかく広い露天風呂が好きな人には最高の温泉だ。

 そんな温泉でたっぷり癒された後は、しっかり仕事の日々だ。4月中は、というより、3月からだが、授業だけでなく、いろいろなデータを入力したり、教材を作ったりする作業があり、連日帰宅時間も遅くなるので、芝居を観に行ったり、飲みに行ったりすることも出来ない。まぁ、それでも学校帰りに、水道橋駅近辺で一杯引っ掛けていくぐらいはしている。1年経ち、なじみの店もいくつか出来た。中国人がやっている餃子の専門店「藤井屋」や、ひとつひとつのつまみが激安でレトロな「半兵衛」、福岡とはまったく関係ない居酒屋「どんたく」などなど。そのひとつ、まぐろ料理の店「魚箱(とろばこ)」は、ホッピーもあるし(最近、置いてある店が増えた)、まぐろの皮のポン酢和えというのは安くて美味くてつまみに最高だったのだが、つい先週の金曜日で閉店してしまった。たまたま最後の日に寄ることが出来たのだが、開店したのが去年の10月だから半年で撤退だ。いや、実際、水道橋近辺の店は移り変わりが激しい。もちろん、長く続いている店もあるが、客が入るところと入らないところの差が激しいのだろう。「魚箱(とろばこ)」は大井町にも店があるらしいので、近くに寄ったら行ってみたい。

 そうそう、次男の高校野球の方は、13日の日曜に、横浜ベイスターズのファーム(2軍)である湘南シーレックスのフランチャイズ球場である横須賀スタジアムで湘南学院との試合があり、京浜急行に乗って追浜まで妻と観に行ったのだが、残念ながら3対6で負けてしまった。先制点は取ったものの逆転され、1点差まで追いついたのだが、また引き離されてしまったのだ。次男は5打数3安打だったが、なかなかタイムリーが出ず、追いつけないままだった。次男は帰りのバスの中で泣いていたらしいが、その悔しさを、最後の夏の大会にぶつけてほしい。

 その日は競馬の桜花賞があり、帰りに「三陽」で餃子を食べようということになり、野毛に出て、しこたま餃子を食べた後、ウインズ横浜に寄った。野毛山フラスコでの稽古の時にはよく寄ったりしていたが、ここで馬券を買うのは久しぶりだ。場内は当然ながらかなり混雑していた。桜花賞は残念ながら、アンカツ(安藤勝己)のオディール(12着)と、ウチパク(内田博幸)のマイネレーツェル(6着)絡みで買っていたので私は惨敗だったが、隣りで一緒にレースを観ていた、人の良さそうな肉体労働者風のおじさんが、ソーマジック(3着)絡みで3連複を買っていて、「これ当たってるよね」と見せてくれた馬券(100円単位で5点)に「13−15−18」があったのだ。妻が「ほんとだ。おめでとう!」といい、私も「これはかなりつくよぉ」などと話しているうちに払戻金の発表があり、何と3連複でも77万8350円! おじさんは素直に「いやぁ、うれしいなぁ!」といって、払い戻しの窓口の方に去って行った。よく、「取った、取った!」と叫んでいて、実際には当たっていないおじさんが競馬場や場外馬券売り場にもいるのだが、こんなに身近で77万馬券を当て、しかもその馬券を見たのは初めてだ。いやぁ、払戻金の発表を聞いた時には、一瞬、呆然としてしまった。3連単は700万馬券にもなったが、妻も「そんな馬券が当たったら、人生変わっちゃうね」といっていた。いや、出来ることなら、人生変わりたいものだが。

 20日の皐月賞は、家で仕事をしながらIPATで買った。2着に来たタケミカヅチは前から狙っていて、当然、1番人気のマイネルチャールズ(3着)も絡ませていたのだが、1着になったキャプテントゥーレはまったく切っていたので、ハズレ。次男でも家にいたら、「(野球部の)キャプテンだから、キャプテントゥーレでも買ってみるか」と買っていたかもしれないが。6月29日の宝塚記念まで続く春のG1は、これで2連敗だが、まだまだ7戦あるので、何とか勝ち越したい。

 さぁ、あと一週間でゴールデン・ウィークだ。頑張ろう。で、ゴールデン・ウィークはまたどこかの温泉にでも行くかな。

(2008.4.21)


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