2007年5月第4週

 先週もまぁ適当に忙しかった。どうも、この「適当に忙しい」というやつが一番疲れるような気がする。なんかひとつのことでかなり忙しいというのなら、それに集中して出来るし、終わった時の達成感や、よくやったなぁという満足感で癒される。だが、いろんなことで「適当に忙しい」と、疲れが取れる時間がない。そこで思った。「適当に忙しい」時間の中に、疲れを取る時間も組み込ませてしまえばいいのだ、と! あぁ、なんでこんなことに今まで気がつかなかったのだろう。忙しかった後に休みを取るのではなく、休んだり癒される時間も忙しさの中に入れてしまう。これだね! とはいえ、まだ発想だけで、企画書すら書けていないような状況だ。いずれ、書けたら報告しよう。あ、今週末、「演出家のためのワークショップ」で福岡に行くのも、忙しい中に、福岡に行くことで癒される、ってのもあるかもしれない。そういうことだ。

 まぁ、日々の中のちょっとした癒しの時間はある。それは、楽しく酒を飲む席だ。決して仕事の付き合いではなく。先週は、水曜日の夜、池袋の東京芸術劇場の小ホールに劇団岸野組の公演『万お仕事承ります』を観に行った。岸野組の芝居は初めてだったが、なかなかおもしろかった。声優がたくさん出ている芝居だったが、そのキャラクターを生かし、楽しい芝居に仕上がっていた。新劇でも小劇場でもない、どちらかというと、ちょっとクサイ大衆演劇っぽい感じで(時代劇ということもあったが)、それがこういう、観客を楽しませる芝居には合っていた。なるほど、こういう見せ方、作り方もあるんだな、と感心した。やっている方も楽しそうだったし、また機会があったら観に行きたいと思った。で、その後、観に来ていた5〜6人の学生たち(といっても、みんな年齢層は高いが)と飲みに行っていろいろ話した。初めて一緒に飲む子もいて、学校とはまた違う面も見れてなかなか楽しかった。

 金曜日の夜は、久々に下北沢の古里庵[こりあん]に行って飲んだ。福岡から、『豚とオートバイ』で医者役をやってくれて、今度の「演出家のためのワークショップ」にも参加する(演出家ではなく、参加するグループの中の役者としてね)ハンキンさんが上京したので、韓国つながり友だちの熊谷さんと一緒に会って飲むことにしたのだ。熊谷さんも古里庵は初めてだったが気に入ってくれたようだし、ハンキンさんも料理を「おいしい、おいしい」といって喜んでくれた。古里庵は、私が19の時に出来た店で、それ以来30年以上通っている、まさに私の下北沢の故郷のようなところだ。どんどん変貌してゆく下北沢の中でも、そこだけはずっと変わらない、今では稀有な店だ。南口にあるのだが、多分、ちょっとやそっとじゃ見つからない場所にある(笑)。ここだけはもう、内緒(笑)。ホームページなんてしゃれたものもないし(笑)。しかし、ここもあと3年ぐらいで開発のために取り壊されるという話を聞いた。嫌だ、嫌だ。下北沢は、ホントにもう、私の育った大好きな街・下北沢じゃなくなるな。

 土曜日は、午前・午後と授業があった後、夜、新宿に出て、ものすごい人混みのアルタ前で大人数で待ち合わせ、これまた最近おなじみの「カントンの思い出」の新宿店に行った。今年の代アニ福岡校の卒業生たちで、私が1年の時に担任だったクラスで上京している11人との飲み会だ。みんな、本格的な韓国料理は初めてらしく、サムギョプサルの食べ方や、ケランチムの説明、韓国焼酎の飲み方や食事の時の韓国語などを教えながらの飲み会となり、楽しく盛り上がった。ここに行くとつい痛飲してしまうのだが、この日は、私は世話役になったので(笑)、あまり飲めなかった。でも、彼らと新宿で飲めたということが、すごくうれしかった。その勢いで、職安通りのコリアンタウンや歌舞伎町をまさに観光案内して歩いたが、ホントに田舎から出て来た団体のようだった(笑)。ついでに、芸能の神様の花園神社にお参りに行こうということになり、行ったら、なんと例大祭の真っ最中で、ここでまたみんなで盛り上がってしまった。おみくじを引いたり、屋台でいろいろ買ったり遊んだり、いやぁ、楽しかったぁ! 私は、なぜか縁日に行くと必ずやってしまう“宝つり”をやって、ポーチが当たった。いや、大したもんじゃないけど。あと、なんとかいう中国風おやきを食べた。これが200円にしては美味かった。ビールが飲みたくなったが、350mlの缶ビールが500円だったのでやめた。みんな、四万十川の鮎を食べたり、スーパーボールすくいをしたり、超大盛りの焼きそばを食べたりと、銘々楽しんでいた。みんなとは、また飲みに行こうという約束をして新宿駅で別れた。そうそう、「カントンの思い出」には、噂のペ・ドゥナに似た学生の従業員がいたので、酔った勢いで一緒に写真を撮ってもらった。いや、ペ・ドゥナよりかわいいんじゃないかな(ごめん、ドゥナ)。でも、注文を聞いてからの行動やテーブルを見ていて気をつかってくれる行動などは、まさにペ・ドゥナの『威風堂々な彼女』や『頑張れ!グムスン』のようだった(笑)。

 日曜日は久しぶりに休みらしい休みで、のんびり出来た、いや、した。休む時は休まないとね。年だし。で、ダービーもやった。実は、最終的に今回のキーワードは、フサイチホウオーで騒がれてた「親子二代制覇」の「親子」だと思い、親子二代制覇は2001年のダービー馬ジャングルポケットの仔のフサイチだけじゃないぞと、同じジャングルの仔のタスカータソルテ、2002年のダービー馬・タニノギムレットの仔のヒラボクロイヤル、ゴールドアグリ、そして、ウオッカ、さらに、2001年の弥生賞・皐月賞馬でジャングルポケットを下しながらもダービーに出走出来ないまま(4戦4勝のまま)引退したアグネスタキオンの仔のアドマイヤオーラを選び、その中から、フサイチとヒラボクとウオッカを3連単の1着にし、2、3着に上記の3頭の他にヴィクトリー、サンツェッペリン、ドリームジャーニーを足して、勝負したのだ。結果は御存知の通り、ウオッカが牝馬として64年ぶりのダービー制覇。もちろん、これからもおそらく現れないであろう「父娘」二代制覇だ。う〜ん、父と娘だったか。皇太子が東京競馬場に来ていたこととやはり関係があったのかな(笑)。ま、ウオッカのダービー制覇はとてもうれしいのだが、馬券的には、2着に粘ったアサクサキングスを、最近好調の(先週のオークスで優勝した)福永騎手だからということで入れていたら(福永ファンの福岡の競馬友だちの春日先生は54.000円の馬連は取ったそうだ!)、なんと3連単の215万円馬券が取れていたことになるし(こんなのが当たったら大変だけど)、もしアサクサキングスが直線で失速して3着以内に残らなければ、1着ウオッカ、2着アドマイヤオーラ(実際は3着)、3着サンツェッペリン(実際は4着)でも32万円馬券になって、取れていたのだ! まぁ、毎度、「たら」「れば」の話ばかりなんだけど(笑)。今週と来週の週末は福岡行きで競馬は出来そうもないから、安田記念はお休み。今度は6月24日の宝塚記念だな。お、その日も横浜市の高校演劇連盟の演劇ワークショップがあるんだった。それについては、また後日。

 で、週明け、嫌な事件がいろいろ飛び込んで来た。その中で身近なところといえば、声優の事務所、アーツビジョンとアイムエンタープライズと、養成所の日ナレ[日本ナレーション演技研究所]の社長の松田咲實さんが逮捕されたことだ。犯罪者に「さん」付けする必要はないかもしれないが、特に親しいというわけではないが面識はあるし、彼の著書『声優白書』(オークラ出版・刊)はなかなかの力作で、声優業界のことについて、この本でいろいろ勉強させてもらったしね。一部には、その相手の16歳の子にはめられたという説もあるらしいが、いずれにしても、自分の欲望のために、どれだけの人に迷惑がかかるかということをもっと考えるべきだったと思う。偉くなると、そういうのが見えなくなっちゃうのかな。アーツやアイムの声優さんたちや、日ナレに行ってる子や行ってた子たちが、どれほど困っていることか。嫌になっちゃうだろうなぁ。日ナレの評判はガタ落ちだし、単に商売上ということだけじゃなく、声優を目指している子たちの精神的な部分でも、責任は大きいぞ。確かに、業界内でいろいろそういう話も聞くけど、まさか松田さんがねぇ、と思うのは私だけではないはずだ。これからどうなるのか、いろいろな意味で見守っていきたいと思う。余罪が出るのか、はたまたはめられたのか。しかし、16歳ねぇ。う〜ん、どうなんですかねぇ、今どきの16歳って。うちの次男が16歳だってば! ハンカチ王子似の野球バカだけど(笑)。あ、いい意味でね(笑)。

 いろいろ嫌な気分で始まった週明けだが、うれしいニュースも飛び込んで来た。カンヌ映画祭の話だ。日本の河瀬直美監督の『殯[もがり]の森』がグランプリを受賞した。これはすごいことだと思うのだが、実は河瀬監督の映画は観たことがないので、あまりピンと来ないというのが正直なところだ。それよりも私にとっては(笑)、チョン・ドヨンが主演女優賞を取ったということの方が、ビッグニュースだ! パチパチパチ! すみません、河瀬監督。一般的に知られているのは、ペ・ヨンジュンの『スキャンダル』に出ていた女優ということかもしれないが、彼女の魅力はあんなもんじゃない。書き始めると長くなるのでやめるが(笑)、チョン・ドヨンの演技力は、男優のソル・ギョングと並んで、韓国映画好きなら誰もが認めるところだろう。とにかく、チョン・ドヨンを知らない人は『ハッピーエンド』と『我が心のオルガン』と『初恋のアルバム』と、去年公開された『ユア・マイ・サンシャイン』を観てほしい! 最近、結婚したばかりだが、この快挙で、また忙しくなりそうだ。日本にも来てくれるかな。

 というわけで、今週もちょっと遅れてしまったが、今週末は2ヶ月ぶりに福岡に行って来る。この「演出家のためのワークショップ」に関しては、サイトの方でもいろいろ進行状況を発表しているので、興味のある方は見てほしい。そして、お近くの方は、ぜひ、来週末の発表会を観に来てね!

(2007.5.31)


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