2007年5月第3週

 だめだ。ぶっ倒れた。20日の日曜、母方の伯母の七回忌ということで、母の代わりに、といっても、母はもう10年前に亡くなってるので(父も)、私しか出られず(弟は大阪住まい)、昼前、祐天寺にある寿福寺というお寺に行った。その日は、夜そのまま、トバさんこと外波山文明氏の還暦(演劇生活40年)パーティーに行く予定で、朝から暑かったし、喪服を着ていくのもなんだから、普通の服にジャケットで、喪服はスーツケースで持ち、乗り換えする渋谷で着替えて行くことにした。で、東急のトイレで喪服に着替えたのだが、その日はものすごい暑さの上、喪服が冬服しかなかったもので、お寺に行く前にすでにちょっとヤバイ状態にはなっていた。まぁ、おそらく、木曜日に完徹し、金曜日はそのまま一睡もせずに仕事をして、土曜日も仕事で、その辺りの疲れというか睡眠不足が残っていたせいもあると思うのだが。

 渋谷からはバスで行った。途中、池尻や三宿という懐かしい(かつては近所の代沢の住人で、三軒茶屋やその辺りはよく遊びに行った)ところを通ったのだが、なんだかおしゃれな店が建ち並んでいるのにびっくりした。そういえば、芸能人が隠れ家的に食事する店はこの辺りに多いと聞いたし。のんびり歩いてみたいとも思ったが、なかなか行けないな。

 法事は冷房が効いているお寺の本堂で行われ、お墓に行った時はちょっと暑かったが、まぁ、無事済んだ。その後、祐天寺駅近くの中華料理屋で供養膳をしたのだが、なぜか1杯目の生ビールで(これがものすごく美味いと感じたのだが)、頭がクラクラッとしてしまった。それから、何年ぶりかで会った私より年上のいとこたちや親戚たちは、どんどん日本酒や紹興酒を取って飲み始めるのだが、私は頭痛がして、あまり酒が進まない。この酒好きの私がだ(笑)。しかし、次から次へと出て来る料理がおいしいこともあり、いとこたちに勧められるままに温かい紹興酒をグイグイ飲んでいるうちに、ついに、頭を拳銃で撃ち抜かれたかのような衝撃(って、そんな経験はないけど)がして、ドーッと冷や汗が出て来た。

 なんとか供養膳の食事が終わり、みんなと別れた後、店に残って着替えをさせてもらったのだが、その時はすでに、酔っているのとは違う感じでフラフラ状態だった。酔っている時はフラフラでもいい気分だったりするが、この時は、完全に気分は悪かった。そこで、こりゃだめだと思い、元・月光舎で今は椿組にいる岡村多加江にメールをし、トバさんのパーティーには行けなくなった旨を伝え、家に帰った。どういう風に帰ったのか記憶がないのだが、とりあえず家に戻って夜まで爆睡した。

 そんなわけで、日曜日はオークスどころの騒ぎではなく、結局、優勝したローブデコルテは一応狙っていたが、2着のベッラレイアも3着のラブカーナも予想からははずしていたので、災い転じて福となる、といっていいのかどうかわからないけど、ま、だめだった。今週末はダービーだが、皐月賞を見ても、今度はフサイチホウオーで固いと思う。他には、ダービー向きのタスカータソルテに武豊が乗るし、ドリームジャーニーの復活はありそうだし、今年は全体的に強そうな、牝馬のウォッカにも期待したい。そろそろ大荒れが収まって、私が取れそうな配当の馬券になってくれればいいけど。

 先週の水曜日(16日)には、文学座の『ぬけがら』を観てきた。この戯曲(去年の岸田戯曲賞受賞)は前に読んでいて、アイデアはおもしろいが、それほど中身のある作品とは思っていなかったのだが、松本祐子演出でどう変わるか楽しみにしていたのだ。初めはやはり、主人公の新劇的演技が気になってしまい、なかなか入り込めなかったのだが、父親たちが登場する辺りから、文学座のベテラン俳優たちの飄々とした存在感のある芝居と共に、作品に引き込まれていった。う〜ん、なんといったらいいのだろう。そんなにすごいといえるような作品ではないのだが、私は好きだなぁ、これ。多分、私が演出したら、一言一言にもっと重みを持たせてしまうと思う。そこを松本演出はさらりと見せている。だから、不満といえば、主人公が母親に謝るところや、最後の父親たちが退場するところに、もうひとつ感動を覚えないのだ。いや、これはそんな感動的な芝居でなくてもいいのかもしれない。そう考えると、最初に戯曲を読んだ時の、「それほど中身のある作品とは思えない」という思いと一致する。いや、皮肉でもなんでもなく、今はそういう風潮なのかと思ったのだ。ホントにもう、「劇的」なんていう言葉の持つ意味は、小さくなっているのかもしれない。時代が違うんだから、仕方ないね。

 その翌日の木曜日に、なぜ完全徹夜などという、年甲斐もない行動をしたかというと、これは仕事だから仕方ない。関連会社のゲームの打ち上げがあるということでお呼びが掛かり、まずは新宿の「大使館」という、私がよく行くコリアンタウンのドンキの並びにある韓国料理屋で飲み食いし(といっても、私が行った時には、10時過ぎでもうほとんど料理はなかったが)、その後は、区役所通りの「Pasela」で朝までカラオケ。といっても、私は場違いな曲を2曲ほど歌っただけで、後は声優さんたちの歌を聴いていた。で、朝になり、始発が動き出したのでと先に失礼して家に帰り、寝たら起きないだろうと思い、朝風呂に入って、そのまま出社。金曜日は一睡もしないで過ごした。まぁ、授業はなかったし、意外にシャッキリしてて、問題なく過ごせたのだが。

 しかし、やはりその疲れというか、寝不足が、2、3日してドッと出たのだろう。年を取ると、筋肉痛とかが何日後かに出るのは何回も経験していたが、疲れや寝不足もそうなのだ、ということがわかった。そういや、一昨年、釜山に行った時も、学校のハードスケジュールをこなした後、釜山に行ったら、翌々日にバタンキューだったからなぁ。年を取ると、先のことを考えて計画を立てないとだめってことだな。今週の格言:恐怖は2、3日後にやってくる!

(2007.5.23)


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