2007年5月第1週

 ようやく終わったGW[ゴールデンウィーク]だが(いや、別にいやなわけじゃないが)、ここ何年かのこの時期を振り返ってみると、福岡にいた頃は、博多どんたくに行ったり、神奈川に帰って卒業生たちに会ったりと、結構忙しく動き回っていたのだが、去年はゴロゴロウィーク[GW]だったようだ。まぁ、あまり生産性はないが、それはそれでいいと思うのだが、今年は結局、2日はDCS[ドワンゴ クリエイティブ スクール]初の体験入学があったし、その他の休みの日は、ほとんど家で仕事をしていた。その仕事のほとんどは、学校の教材作りだ。自分でも、なんでこんなに一生懸命になっちゃうんだろう、てな感じで、いろんな資料をひっくり返して、日本語のあれやこれやについていろいろ調べた。つまり、仕事というより、勉強だな。書棚にずっと飾ってあっただけのような、ちょっと古い日本語に関する学術書や、若い頃に一応読んだ演劇関係の日本語に関する本を再び引っ張り出してきて読み比べ、自分なりに、教材になるようなものをまとめていったわけだ。いやぁ、大変は大変だったのだが、実はなかなか楽しかった。何しろ、発音や日本語に関して、これまでやってきたことの確認というか復習、と共に、新たな発見もあったりしたのだから。

 音便や転音や約音についても、改めて勉強になった。「戦う=tatakau」というのは、元々「叩き合う=tatakiau」だったのが、「kia」の「i」が省略されて「tatakau=戦う」になっただとか、「打ち上げ=utiage」の「tia」の「i」がなくなって「utage=宴」になっただとか。だから、打ち上げは宴会でなくてはならないのだとか(いや、これは勝手に思っただけ……でもないよなぁ)。とにかく、なるほど、日本語というのはこういう風に成立していたのか、と、この年になってわかったりしたことも多い。そして何より、年をとってからの勉強というのは、しつこくなる、ということもわかった。若い頃は、勉強なんて早く終わらせたいという思いばかりだったような気がするのだが、もっと調べたい、もっと知りたいという思いが強くなり、なかなか終わらせられないのだ。だから、博士とか何とか研究家とかいうのは、年寄りが多いんだろうな。あれは年寄りのしつこさがなせる業だと思う。で、私も、ずるずるとGW後半の4連休も、仕事というか、勉強で、ほとんど机に向かっていたというわけだ。おかげで、他に仕上げなくてはいけない仕事が遅れてしまった。関係者の方、すみません。

 ただ、あまりに書斎に籠ってばかりいるのも不健康だし、なぜか、ものすごくおいしい餃子を無性に食べたくなったこともあって、5日の子供の日、子供たちは友だちと約束があって出かけるというので、夜、妻と二人でフラッと野毛の「三陽」に餃子を食べに行ってしまった。こうと決めたら、即、行動してしまう性質なのだ。

 「三陽」の親父・竹内氏には、竹内氏の子供の頃がモデルになって出ている映画、『早咲きの花』の鑑賞券をもらって観に行ったこともあり、その御礼もしなくてはと思っていた。3月に、関内での仕事から離れて以来、「三陽」にも行ってないし。で、野毛に行く桜木町駅に着くと、逆方向に行けばみなとみらいがあり、GW真っ最中なので、当然、混んでいたし、その日は競馬開催日で野毛には場外馬券売り場もあるので、その残党が残っていて、二重の混雑ぶりだった。「三陽」も、御用邸(ナイスな命名! 店の外の2軒ほど離れたところに置いてあるテーブル席で、そこでも食べたり飲んだり出来る)まで混んでいたが、運良く外のテーブルの席(ビアガーデンと呼ばれている)が二つ空き、すぐに座ることが出来た。で、例によって、餃子にネギトリにバクダンに手羽先でビールをグイグイ空け、最後にチンチン麺で、いつも通りの満腹状態。ホント、ここに来ると、外の屋台ということもあるのか、次から次へと食べてしまい、もうダメというところから、〆の麺類まで食べちゃうもんだから、お腹はかなり大変な状態になってしまう。わかってるんだけど、それを承知でそうなる。多分これが室内の店だと、そこまでならないだろうな、という感じ。で、竹内氏にも、『早咲きの花』で親父さんの子供の頃をモデルにした役をやっていた子は、親父さんに似てたよ!(ドラマの『ちびまる子ちゃん』のはまじ役や『バッテリー』にも出ていた米谷真一君)、という話をして映画の券の御礼をいい、子供たちへのおみやげの生餃子を3人前買って「三陽」を出た。

 で、この苦しい腹を何とかしなくては、と思い、まだネオンの点いていた、みなとみらい方面に行くことにした。ランドマークタワーの横を通ると、円形広場では例によって大道芸をやっていた。以前、何回か観たkajaではなく、外人の二人組(名前は忘れた)だったが、これがかなりおもしろく、歩くのを止めてそこに座り込んでしまった。まぁ、ジャグリングや高い一輪車の技はそれなりの感じだったが、二人のトークが、とても外人とは思えない、いや、日本人の芸人でも、これほど見事にアドリブで対応出来ないだろうと思うほどのおもしろさだったのだ。日本の若者言葉や時代劇みたいな言葉も使うし、何よりスピード感があって、全然飽きない。まさに圧倒されるという感じで、そこで20分ほど過ごした。時間はすでに10時近かったが、コスモワールドの方に行ってみると、まだ営業していた。妻は、“世界最大級の時計型大観覧車”という「コスモクロック21」に乗りたいといったが、まだまだ長い列だったので、どうせならジェットコースターに乗ろうぜ、と私がいい、「バニッシュ!」という“世界初、水中に瞬時に消えるダイビングコースター”に乗ることにした。これが、なぜか空いていた。そう、その日のニュースでやっていたエキスポランドのコースターの事故が影響していたのかもしれない。私も一瞬、そのことが頭によぎったが、こうと決めたら即行動で、すぐチケットを買い、並ぶ間もなく乗り込んでしまった。まぁ、怖いもの知らずということもあるし。で、アッという間の一周。走っている間は、妻と二人でほとんど悲鳴を出しっ放しで、スタート地点に戻って来たら、放心状態で無言。いやぁ、なんというか、小さい頃はジェットコースターが大好きで、後楽園や豊島園や富士急ハイランドやいろんなところのいろんなのに乗りまくっていたが、考えてみたら、長男が小さい頃に一緒に乗って以来、十何年ぶりかのジェットコースター、いや、今はいろいろしゃれた名前がついているが。とにかく、50過ぎてのジェットコースターは、やはり危険だ(笑)。終わってコースターから降りたら、頭、というか、脳みそが頭蓋骨の中でグラグラ揺らされた感じが残っていて、フラフラだったもん。五十而知寿命[五十にして寿命を知る]って感じだった(笑)。特にこの「バニッシュ!」、水が噴き出す穴(乗ってる人には一瞬なのでわからないけど)に飛び込む瞬間が、一番怖い! 穴の中に入ってしばらくは真っ暗だし(夜だったからなのかな)! アッという間の700円。高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれだと思うが、久しぶりにいろいろな体験をさせてもらったことを思えば、私にとっては安い勉強。まぁ、もう一度乗りたいとは思わないけど(笑)。

 そんな感じのGWで、まぁ、合間に連休前に借りたDVDを観たりもしていたが、その中でおもしろかったのは、『間宮兄弟』。久々に森田芳光らしいおもしろさが出ている映画で、去年の邦画では、ダントツに大好きな『嫌われ松子の一生』に継いで好きな映画だな。2回観ちゃったし、DVDも買おうと思ってる。逆に受け入れられなかったのが『フラガール』。予告編ではおもしろそうで期待してたんだけど、実際に観たらダメだった、私はね。去年観た、というか、途中で観るの止めちゃったけど、『ALWAYS 三丁目の夕日』もダメ。どうも、最近の映画は、一般的に評価されてる映画(本当にそうなのかどうか、わからないけど)って、特に邦画の場合、私には合わないみたい。これから、まだいろいろ観ようと思ってるんだけど、心配だなぁ。私の感性と合う映画を評価している評論家とか、そういうのを紹介してくれているサイトってないかなぁ。そうそう、キネ旬のベストテンだと、評論家が点数つけてるから、今度、それで調べてみようっと。いるかな、同じような感性の人。ちなみに、ここ10年ぐらいの邦画で私が大好きだったのは、『がんばっていきまっしょい』、『ヴァイブレータ』、『ジョゼと虎と魚たち』、『きょうのできごと』、『パッチギ!』、『メゾン・ド・ヒミコ』といったところかな。とりあえず思いついたのは。それなりに良かったっていうのも多いけど。つまらなかったのは……これも多いよなぁ、なるべく忘れることにしてるけど。まぁ、まだまだ観てないのもいっぱいあるので、これからも観る。あ、韓国映画も観なくっちゃ。これも、つまらないのも多いんだけど。

 そうそう、2日の夜に行った黒色綺譚カナリア派番外公演の『宵語り リュウカデンドロン』は、台詞のリーディングとはまた違う朗読ということで、いろいろ勉強になった。反面教師ということもあるんだけどね(笑)。何人かで朗読をやる場合、やはり、語り手の技量の違いがはっきり出るということと、朗読であっても、その世界を表現する独特の語り術が必要だということ。当たり前といえば当たり前のことなんだけど、その辺りは、公演が終わって飲み会に駆け付けてくれた赤澤ムック嬢とも話した、というより、私が終電ギリギリだったので一方的にいっただけだけど。黒色綺譚カナリア派は、まだ本公演は観てないので、次の8月の公演に期待するとしよう。

 そんなわけで、先週行く予定と書いた東京競馬場にも行ってないし、NHKマイルカップの970万馬券も取れるわけないし(3連複の120万馬券もね)、あ、でも、牝馬に強い私としては、このレースも牝馬が絡むと読んで、イクスキューズを軸にしたんだけど、まさか、もう一頭の人気薄の牝馬のピンクカメオが来るとはねぇ。参りました。気をとり直して、今週末は牝馬のG1(まだ、この名称使ってていいのかねぇ)、第2回ヴィクトリアマイルだから、頑張りまっせ! 春のG1戦、今のところ、去年と同じ桜花賞のみの1勝だけだし(泣)。

(2007.5.9)


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