どうやら風邪をひいたらしい。というか、その兆候はずっとあったのだが、病は気から、という感じで、気が張っていて表に出て来なかったやつが、ちょっと気が緩んだ隙に顔を出して来たってやつだろう。頭もボーッとしているし、声も掠れ気味で、22日の日曜日に学院の体験入学で、横浜校と福岡校をネットでつないで中継をやった時に、横浜校側の司会進行役をやったのだが(前にここで紹介した、将来、期待している渕上舞と!)、それもどうも空回りをしていたような気がする。今週は、来週末の学院祭の1年生の発表に向けての稽古と、12月の2年生の舞台発表会の稽古も始まるし、しばらく芝居漬けの日々が続くので、早く治さなくては。といっても、医者に行ってる時間がないから、これ以上ひどくならないように、うがい励行と寝不足解消! というわけで、先週の続きと先週のことを簡潔にまとめていくことにする!
14日の土曜日。午後2時より俳優座劇場にて、5月に『中西和久のエノケン』で楽しませてもらった京楽座の『破戒』観劇。もちろん、原作は島崎藤村。むか〜し読んだ。六本木はむか〜し陸の孤島という感じがあったが、新宿からも都営大江戸線で行けるようになり(かなり地下に潜るが)、便利になった。もう随分経つが。俳優座劇場も、今は亡き、わーさんこと渡部克浩が出た俳優座プロデュース公演以来8年ぶり。ロビーに入ると、龍昇企画の龍昇氏に会う。つい先日やっていた、前川麻子嬢も出た公演『真夜中のマクベス』は観に行けなかったので、彼と会うのも4年ぶり。開演時間が近かったので、軽く挨拶をして休憩時間にまた会おうと約束をして客席へ。
『破戒』の演出は西川信廣氏。これまでにも彼の演出作品を何本か観たことはあるが、私的にはあまりいい印象はない。この作品も案の定、つらい。原作はあまりに有名だし、演劇としてどう作られているのかと興味はあったが、その工夫があまり見られず、堅実ではあるが、演劇としてのおもしろみを感じられず、退屈。客の年齢層はおそろしいぐらい高く、中にはコックリコックリしている人も。私も何度となくそちらの世界に引き込まれそうになる。う〜ん、こりゃダメだと思い、休憩時間にフラフラとロビーに出ると、龍昇氏も首を横に振り、結局、二人で外に出て、お茶をすることにした。後半は観なかった。だから、この芝居がどうだったかというのは語れない。しかし、生きる道を見つける話なのに、なぜあんなにみんなの演技が生き生きしていないのか、様式的なのか、疑問。やはりこれが新劇なのかと思ってしまう。背景となる時代は明治でも、上演する今という時代に通用する舞台にして欲しかった。まぁ、芝居の傾向の好き嫌いもあると思うが。
その後、龍昇氏と近くのロッテリアでいろいろ話をする。彼とも演劇団で初めて出会ってから(共演もした)、もう30年近くになる。龍昇企画に役者として出させてもらったこともある。来年の1月に、ガンちゃんこと冬雁子の三回忌に合わせて偲ぶ会をやりたいという話もする。明日は長男の結婚式で宮崎に行くという彼と別れ、一度新宿に出て買い物をし、今度は都営新宿線で森下へ。
夜はベニサン・ピットで流山児★事務所の『狂人教育』の観劇。その回のAチームに、今年の3月に代アニの福岡校を卒業して流山児★事務所に入った武田智弘が出ている。8月に他の卒業生の公演で会ったが、彼が出演する公演を観るのは初めてだ。昼間観た新劇の反動というわけでもないが、やはり私はこういう芝居が好きなんだと再確認。というより、この『狂人教育』、近年の流山児★事務所の公演の中では(といっても、福岡にいた時には観てないが)、ダントツなんじゃないかと思う。いや、新人が出ているAチームとはいえ、その演出は完成度が高く、やはり何年もいろんなところ(カナダ、韓国、エジプト、中国などなど)で公演を重ねてきた作品だけあると感心する。一緒に観た福岡校の卒業生たちも感動。こういう舞台を観せることが出来てよかったと思う。いや、私が観せたわけじゃないが。
終演後、ロビーで流山児祥氏に「いや、ホントにこれは素晴らしかった!」と挨拶。彼にはいつもは厳しいことをいうのだが、これはベタボメ。「20年前にこれを観せてくれていたらなぁ」というと、流山児氏は「それだったら天才じゃないか」と笑顔で応える。受付にいたTOMOこと横須賀智美に「(彼女自身が出る)明日の楽の公演も観に来て!」といわれるが、1年生の学院祭の台本直しをしないといけないので「来れない」と謝る。その日は、元・月光舎の岡村多加江も観に来ていて、2年ぶりに会う。神奈川に帰って来てから連絡してないものだから、「嫌われてるのかと思いましたよ」と笑顔で文句をいわれ、謝る。その後、卒業生たちと新宿に出て、みんな行ったことがないという西口のしょんべん横丁に連れて行く。そのすぐ裏の吉野家でバイトをしている卒業生はいるのだが。
いつもは“きくや”だが、混んでいて入れず、隣りの“鳥園”へ。ここも30年近く前から来ていて、螳螂時代にはこの店の前で、店の中で喧嘩になったサラリーマンの集団と劇団員たちとで大立ち回りをしたことがある。結果は、いわずもがな。素人衆は役者相手に喧嘩しちゃダメよ。もっとも私はその時、生ビールの樽が頭に当たり、意識が飛んでいたが。その懐かしき“鳥園”で、先に来たメンバーで飲んでいるところに後から武田も駆けつけ、みんなでお疲れの乾杯。作品も良かったが、武田もなかなか良かったし、姉のマユ役をやった武田と同期の北山佳奈が素晴らしかったという話をする。久しぶりに黒霧をボトルで取ってみんなで楽しく飲みながら、福岡の思い出話などもする。ただ、焼き鳥にキャベツが出て来ないことには、一同やはり不満の声が上がる。そういや、こっちに戻って来てから、焼き鳥+キャベツのタレ付きキャベツは食べていない。酔いどれて店の前で写真を撮ってもらい、結局、最終電車で帰宅。
先週、いや、先々週の話はここまで。先週の平日の昼間は、15日の日曜日に一日かけて直した、1年生の学院祭(11月3・4日)での舞台発表会の稽古の授業が中心。芝居漬けの日々。芝居の稽古をしていると時間の経つのが早い。夜はどういうわけか、秋の新番組のドラマにはまる。月曜日は『のだめカンタービレ』。これはDVDに録ってもらっていてまだ見てないが、上野樹里がすごいらしいので見る。火曜日は『役者魂!』。藤田まこと扮する本能寺海造(本名らしい)が、なんか誰かに似てておもしろい。いきなりの新幹線(=新感線)ネタには笑ったが、もっともっと演劇ネタをやって欲しい! 水曜日は『14才の母』。いやぁ、これはすごいドラマだ! 志田未来は、いい! しかし、二人が結ばれたシーンを見せないのはおかしい! どういう風にやったのよ? いや、変な意味じゃなくて……だって、あんな状況でよ。木曜日はもちろん、『Dr.コトー診療所2006』。『Dr.コトー』は、私は最初のシリーズから見ていたわけじゃなく、三男が大好きで熱心に薦めるので、レンタルのDVDを見出したらはまってしまい、結局、特別編も含めて全部見て、新シリーズが始まるのを楽しみにしていた。孤島の診療所が舞台だなんて、当然、物語もいろいろあるわけで、作り方はオーソドックスで、なんてことないんだけど、役者たちがみんないいから毎度泣けてしまう。登場人物の子供たちの成長とか一緒になって応援したくなるのは、昔の『北の国から』と一緒。コトー先生が、というより吉岡秀隆が大好きな三男に、『北の国から』の最初の頃のビデオを見せ、純を「これがコトー先生だよ」といったら、驚いていた。私も、吉岡君の芝居が基本的には一緒なのに驚いた。いや、それでいい、というか、そこがいいのだが。そのうち、三男に寅さんも見せてやるか。秋の新番組のドラマは、見たいものと見たくないものの傾向の違いはある。
平日はそんなこんなで、週末の21日の土曜日、学院祭の発表会用に黒幕と緞帳用の幕を揃えようと思い、久しぶりに日暮里の繊維問屋街に行く。日暮里は螳螂時代からよく来ていた。もちろん月光舎でも。買う店は、だいたいトマト。ここに来ると、服飾学校の学生やデザイナーの卵や演劇関係者が多い。もちろん、自分で服を作る主婦の人も。我々はいつも、特殊な布以外は1m100円の掘り出し物の中から選ぶ。黒布もあったので70mほど買う。それで7.000円は安い。緞帳用の幕は、横浜らしく、イルカの絵が入っているブルーの布にする。買った大量の布を学院に運んでもらうため、横浜校・声優タレント科の湯浅先生が車で来てくれたので、布を積み込み、秋葉原まで送ってもらい、ついでに照明関係の機材も見ておくことにする。
湯浅先生と別れ、秋葉原の街を歩いていると、なぜかあちこちに行列が出来ている。土曜日なので、いろんなところでイベントが行われているのだ。しかし、つくづく見ても、みんな似たような格好をしている。いわゆるオタクファッションってやつ。メイドも多い。結構、かわいい子もいる。その後知ったのだが、どうもこのアキバのメイドが、翌日襲われたらしい。メイド狩りだとか。そんなやつは、メイドのコスプレのある風俗に行けっての! しかし、その子自身がかわいかったのか、メイド服だったから良かったのかは、謎だ。犯人の似顔絵が出ていたが、こんな顔、アキバにはウヨウヨいるぞ。アキバでは、学院祭の舞台発表会の照明に使うビーム電球と調光器を買い、その後、JRで関内に向かう。翌日の22日も体験入学で学院に行くし、結局、この土日も関内行きというわけで、定期を無駄なく使えてつくづく良かったと思う。関内に着き、アキバで買った照明類を一度学院に置きに行き、6時過ぎに馬車道の方の関内ホールに向かう。そこで、先週お知らせした劇団「殴りすぎじゃない?」の公演を観るのだが、長くなったので、それ以降については、また来週!
そういえば先週、メイショウサムソンの3冠を予想した菊花賞だが、見事ハズレ! というか、優勝したソングオブウインドも、名前がいいと選んでいたし、実は3連複だったらパッチリ取れていた(それでも万馬券!)のだが、最近は3連単ばかりで、ソングオブウインドも3着には入れていたのだが、まさか1着になるとは! 今週末は東京競馬場で天皇賞・秋だから観に行きたいのだが、学院祭の準備でつぶれるかな……予想は、馬というより今回はオカルト馬券で、秋篠宮様関係ネタで探そうと思ってる。秋だし、悠仁親王がお生まれになったばかりだし、誕生日は9月6日だったから、馬番が9番と6番の馬とか! いや、ホント!
(2006.10.24)