2006年5月第3週

 先週、久しぶりに秋葉原に行った。代アニのアキバ校での授業が入ったからだ。一応、私は横浜校での授業がメインなのだが、アキバ校にも、これからも時々入るようだ。

 3ヶ月ぶりの秋葉原だったが、前回行った時にその変貌ぶりに驚いたことは前に書いた。だが、今回行ってみて、またまた変わっていることにさらに驚いた。アキバ校の先生に聞くと、それこそ、日々変わっているそうだ。確かに、あちこちで工事が行われている。まだ空き地もあるし(古い建物を壊して更地にしたのだと思うが)、さらに新しいビルが建つのだろう。まるでソウルのようだ。ソウルも街の至るところで工事が行われていて、行く度に変わっている。秋葉原は、いや、まさに原がなくなってのアキバは、おそらく10年後ぐらいには、今はまだ残っているアキハバラデパートや小さな電気関係の店はなくなり、近未来を舞台にした映画に出てくるような巨大な電脳都市になっていることだろう。その頃にはアキバ名物のメイドはどうなっているのだろう。ロボットのメイドがいるかもしれない。

 そう、アキバといえばメイドだ。メイド・イン・アキバ。駅を降りると、いつも数人のメイドがチラシを配っている。だが私は、残念なことにまだ時間がなくて、メイド関係の店(喫茶店だけじゃなく、美容院や居酒屋やマッサージやメガネ屋まである)には行っていない。最近は、和風の(着物姿の)メイド喫茶まで出来たようだ。いずれ行くことがあったら(多分、一回行けばいいと思う)、写真付き(ちゃんと頼めば撮らせてくれるそうだ)で報告しよう。あ、別にエッチな店じゃないから誤解しないように。

 アキバ校での授業は1年生のエチュードだったが、初めてだったので、基本的な身体のウォーミングアップや発声練習もチェックした。横浜校は午前午後とも1クラス20人ちょいだが、アキバ校の午前クラスは30人ほどいて、教室が小さいせいもあると思うが、久しぶりに大人数という感じがした。福岡校は人数はもっと多いが、レッスンスタジオは広いので、狭いという感じはしなかった。アキバ校の学生たちは、狭いながらも全員なかなか積極的で、充実した授業が出来た。すごいのはクラス名で、午前が朱雀で、午後が麒麟と、書けといわれてもすぐには書けない名前で、漢字の勉強になる(笑)。ちなみに横浜校は、港ヨコハマを象徴している波と雲だ。私がつけたわけではないが。しかし、漢字はともかく、ナミとかクモとか音だけ聞くと、ちょっとね(笑)。

 そういえば、エチュードの授業では今年から、Stage Powerのnews headlineでも取り上げられている“インプロ”の授業や、“スタニスラフスキー・システム”の授業もやっている。声優タレント科であっても、ちゃんと演劇に関する授業をやっているのだ。インプロに関しては、随分前から外国でそういう競技が行われていたことは知っていて(新聞で取り上げられたことがある)、日本でもやればいいのにと思っていたのだが、最近、スカパーのフジテレビ721でやっているようだ。私は見れないが。まぁ、そのうち地上波でもやるようになるだろう。スタニスラフスキーに関しても、若い頃、勉強、というか、一通り読んだ本の数々を、書庫の奥から引っ張り出してきた。昔、漫画の単行本の編集の仕事をしていた出版社の社長にもらったかなり古い本だが、久々に読み返してみたら、なかなかおもしろかった。そういえば、昔はよく演劇の理論書を読んだものだと思い出した。スタニスラフスキー、ラポポルト、ザハーヴァ、トポルコフ、アントナン・アルトー、ピーター・ブルック、タデウシュ・カントール、リー・ストラスバーグ、寺山修司、鈴木忠志、唐十郎、太田省吾、別役実、田中千禾夫、安部公房。今も家の書棚にあるのはそんなところだ。新しいところでは平田オリザ。最近の若い演劇人は、こういった演劇の理論書を読んでいるのだろうか。私もいつか書きたいと思っていて、いつのまにか機会を逃してしまった。理論書というのは、理論と実践が伴っていて初めて生きてくるものだからだ。いや、まだこれからだって遅くないかもしれないが。

 アキバ校には木・金と2日間行ったが、木曜は横浜校の夜間専科の授業があったので、すぐに関内に戻った。金曜日は、夜、友人に会うために新宿に出た。新宿西口の地下で沖縄物産展をやっていたので、くるま麩スッパイマンを買った。大好きな麩チャンプルはくるま麩に限るし、スッパイマンも大好物だ。

 8時過ぎに、どこも混んでいて3軒回ってようやく入れた西口の居酒屋で、前週の土曜日にソウルで神話(SHINHWA)のコンサートを観て来た友人のM女史に会った。妻が頼んでいたヒョンビン関係のグッズやサントラCDをもらうためだ。ヒョンビンは、今、妻がどっぷりはまっている韓国の若手俳優で、彼が出演した映画『まわし蹴り』を私は観たのだが、あまり印象になかった。去年放映された『私の名前はキム・サムスン』というドラマがいいらしいが、私は残念ながら観ていない。しかし、そんなにサムスンがいいのなら、ダービーはメイショウサムスンかな。あ、あれはサムソンか。ダービーの話はまた後で。

 M女史には、今回は私の個人的なものは頼んでいなかったが(あり過ぎるので悪いと思った)、いろいろソウルの話を聞いて、すぐにでも行きたくなった。あの店にも、あそこにも。そして、大学路(テハンノ)で芝居を観て……そういや、5月はよく香港や韓国に行ったし、2002年5月の月光舎のソウル公演からちょうど4年経った。今年は、去年おととしと同じく8月に行く予定だ。サラリーマンになってから、まとまった休みは夏か正月しか取れなくなったからだ。

 M女史は神話(SHINHWA)が、中でもイ・ミヌが大好きなのだが、なんと女優のソン・イェジンも好きで、来日した時のファンミーディングにも行ったという。しかもその時、抽選が当たり、その場でサインしてもらったポスターをもらったそうだ。もちろん握手もしてもらい、思わず泣いてしまったという。うらやましいっ! ソン・イェジンとも握手したいが、私の場合、チョン・ジヒョンと握手なんかしたら、きっとM女史と同じように、本人の前で泣き出してしまうだろう。危ないおじさんと思われるだろうけど。そうそう、チョン・ジヒョンの新作『デイジー』がもうすぐ公開されるし、どうもチョン・ジヒョンは今、日本に来ているようだ。映画のデキも気になるが、どこに泊まっているのかも気になる。どこかでバッタリ会えないだろうか。ペ・ドゥナが日本に来ている時に、偶然、渋谷で会って話をした人がいるらしいし。そういえば、乾坤一滴プラスの「韓国映画セレクション」に少し書いた。これから頻繁に少しずつ書き足していく。いずれは、セレクションではなく、これまで観た韓国映画すべて(何本あるかなぁ)について書きたいと思う。ベストテン2005の方は、『女は男の未来だ』は観たのだが(残念ながら、ホン・サンス作品の中ではそれほど良くなかった)、他にも、きっとつまんないだろうとわかっていても、もう少し観てから発表することにする。

 M女史とは、ヒョンビン主演の新作映画『百万長者の初恋』と、ソン・イェジンとチャ・テヒョンが共演した映画(日本公開名『君に捧げる初恋』)の日本語字幕入DVDを今度貸してもらうことを約束して別れた。お、どっちも初恋だ。『冬のソナタ』といい、韓国人は初恋が好き、というか、大事にするのかな。確かに初恋はいいもんだけど。私の初恋は小学校4年の……まぁ、いずれまた。

 土曜は横浜校の体験入学だった。声優科は11名の参加予定が5名しか来なかったが、みんな来年入ってきてくれそうな感じの子たちだったので、楽しく出来た。声優さんのゲストが来ない分(当然、ゲスト目当てで来る子もいる)、みんな真剣に入学を考えてくれている子たちが来てくれるので、こちらも一人一人じっくり対応出来るのだ。とにかく人数が多く来た方がいいのと、どっちがいいのかはわからないが。

 日曜日はオークスだった。東京競馬場に行こうかなとも考えたが、妻が自治会の草刈りに借り出されることになったので、一人で遊びに行くわけにもいかず、部屋の片付けをしながら即PATでやることにした。それがなんと、ものすごく悔しい! というか、悲しい結果に終わってしまった。先週、予想に書いた通り、優勝したのはカワカミプリンセスで、2着のフサイチパンドラも34秒台の脚こそなかったが、先週ラインクラフトで裏切ってくれた福永のリベンジに期待して最終的に選び、3着のアサヒライジングも34秒台を東京コースで2度も出していたので選んだのだが、3連単の軸を、桜花賞3着のコイウタにしてしまったのだ。前川清がオーナーの馬だ。ところが、コイウタは、あろうことか3コーナーで故障が発生し、競争を中止してしまったのだ。その時点で馬券はすべてパーになってしまった! 一度発走したらレースは成立するので、もちろん馬券は返還されない。実は、カワカミプリンセスを軸に買うということは、周りの競馬仲間には宣言していたのだが、直前に変えてしまったのだ。そのまま素直に買っていれば、当然、馬単(8.220円)も3連単(164.300円)も取れたことになる。念願の、初めての10万馬券だったのだ。まったく、情けないというか、ついてないというか……初志貫徹は大切だ! コイウタの方は右肩ハ行ということで大事に至らなかったのにはホッとしたが、騎手はやはり、私と相性の悪い横山典弘だった。2着が続いていて、今度こそと思って選んだのに、買わなきゃ来るし、買えば来ないしで、本当に横山とは相性が悪い。まったくトホホだ。

 もう、春のGT戦、何勝何敗かなどというのは関係なく(まだ、実質1勝しかしていないが)、こうなりゃ、次の第73回日本ダービーは意地でも取りたいが、どうも今度は割りと堅く収まるような気がする。皐月賞5着までの上位馬(メイショウサムソン、ドリームパスポート、フサイチジャンク、アドマイヤムーン、フサイチリシャール)に、切れ味のいいマルカシェンクと、ダービーと同じ東京2400mの青葉賞1、2着のアドマイヤメインとマイネルアラバンサの8頭。これをどう組み合わせるかが問題だ。軸にしたいのは、今のところ、武豊が乗るアドマイヤムーンだ。ロジックは1600mまでの馬だと思うし、3歳馬でひと月に2回もGTを取るなんてあり得ない(おととしのキングカメハメハは成し得たが)。また、これだけの馬が揃っていると、抽選で出場出来た馬が大活躍する、なんてこともないだろう。というわけで、比較的堅く収まりそうな気がするが、いずれにしても、直前に変えるのはもうやめよう。

 そうそう、先週、例の梅香亭に昼飯を食べに行って来た。テレビで紹介されたカレーは残念ながら売り切れだったが、名物のハヤシライスを食べることが出来た。昼の1時過ぎだったが結構混んでいた。近くのサラリーマンに混じって、観光客らしきおばさんたちも来ていた。矢沢永吉のファンらしき人間はいなかったが。また今度、テレビで絶賛されていたカレーライスを食べに行きたい。

 月曜日の夜には、毎月、相鉄本多劇場で行われている横浜演劇サロン、通称、劇サロに久しぶりに参加した。劇サロに興味を持っていたStage Powerの神保さんも、今回、一緒に参加した。その様子はnews headlineでも紹介されている。この乾坤でもかつて書いたが、私は劇サロの創設メンバーでもあるのだ。もう6、7年前になる。今回は4年ぶりぐらいの参加になり(福岡に行っていたのだから当然だが)、同じ創設メンバーの大西一郎氏や、相鉄本多劇場の嶋さん、横浜の演劇界の世話人的役割の一宮さん、ただの芝居の観客ながら、神奈川のいろいろな劇団の公演や月光舎の公演も毎回観に来てくれていた後藤さん、私も出演させてもらったことのある劇団P.E.C.T.の制作の薄田さんら、多くの懐かしい人たちにも会うことが出来た。みんな、神奈川に帰ってきたことを喜んでくれた。今、横浜の演劇界は、いろいろ新たな動きがありそうだということで、大西氏にも、出来る限りのことは協力するよ、と話した。相鉄本多劇場では、12月に代アニ・横浜校の卒業公演も行うし。何をやるかはまだ決めていないが、福岡校にいた時の卒業公演を観てもらえばわかるように(といっても、観てくれた人は限られているが)、単なる専門学校や養成所の発表会のようにはしたくない。思い切って新作か、韓国の戯曲でもやっちゃおうかなと思っている。

 というわけで、神奈川に戻って2ヶ月、ようやく演劇的な動きが出て来た。今週は舞台も2本観に行く予定だ。そして、日曜は日本ダービー! 今年は東京競馬場に行く予定はないが(去年は長男と一緒にディープインパクトを観に行った!)、早く春のGT戦が終わってくれないと、何か落ち着かない。競馬ファンはみんなそうだろう。残り、あと3つ(ダービー、安田記念、宝塚記念)だ。頑張ろう!

(2006.5.24)
(つづく)


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