2005年7月第1週

 先週、渇水の話をした途端に大雨になって警報まで出た福岡ですが、水不足だった四国も、一転、大雨の被害が出たりして大変だったようですね。そのおかげで取水制限が解除されたというのも皮肉な話ですが。とにかく、自然てやつはわかりません。神奈川でも、河原でキャンプをしていた家族が、突然の大雨で、鉄砲水に流されたなんて事件もよくありましたから。油断してると大変なことになりますよね。しかし、水害っていうのは、ある程度、予測して防げると思うんですけどね。まぁ、人間ていうのは、相変わらず、その時になってみないとわからない、という考えがどこかにあるんでしょうね。私もそうですから。

 さて、7月に入ったわけで、福岡では福岡アジア映画祭が開かれます。いや、もう始まってます。で、未公開の韓国映画が4本も上映されるんです! おなじみ、私が一番好きな韓国男優ソル・ギョングの『公共の敵2』、イ・ソンジェとパク・ソルミ(『冬ソナ』のチェリン、『オールイン』のジニ役)の『風の伝説』、一般公開したらひょっとして大ヒットするかもしれないぐらいおもしろい、かもしれない『回し蹴り』、ヤン・ドングンとファン・ジョンミン(『浮気な家族』の旦那さん役)のコメディー『最後のオオカミ』の4本! というわけで、私もさっそく先週末辺りから韓国映画三昧モードに入り、映画館で2本、DVDで3本、観てしまいました! まぁ、私のストレス発散、っていってもあまりストレスというもの自体感じないタイプなんですが、気分的に癒されるのは、やっぱり、いい韓国映画を観ている時ですねぇ。ちなみに、肉体的に癒されるのは、なんといっても、温泉やスーパー銭湯に行って、ゆったりのんびり大きなお風呂に入ることです。最近、行ってませんけど。

 映画館に観に行ったのは、乾坤一滴プラスでも発表している私の昨年の韓国映画ベストワン(『悪い男』)にして主演男優賞受賞のチョ・ジェヒョン主演の『清風明月』。共演は、『リ・ベラメ』『幽霊』のチェ・ミンスに、『チング』のキム・ホギョン。“初めて韓国内で撮影された本格的韓国武術映画大作”です。要するに、朝鮮王朝時代を背景とした、男の友情を描いた武術映画なんですが、う〜ん、なんといっていいか……確かに迫力はあるし、最後の熱い男の友情のシーンも、そうなるだろうとわかってはいてもホロリとさせられましたが、どうも観ながら中に入り込めませんでしたね。ずっと冷めた目で観ていました。私の大好きなチョ・ジェヒョンも、ずっと力の入った演技で、あまりいいとは思えませんでした。観終わって、なんか疲れた、というのが正直な感想です。久しぶりの星取りでは、★★★。

 同じような感じで、確かに凄いとは思うんだけど、ずっと冷めた目で観ていたのが、ようやくDVDで観ることが出来た『銀杏のベッド』。その後、『シュリ』や『ブラザーフッド』で大ヒットを飛ばすことになるカン・ジェギュ監督のデビュー作です。これはやはり、映像的にも、映画館で観るべき映画だったとは思いますが、ハン・ソッキュ演ずる主人公が前世に愛し合った相手(チン・ヒギョン)と、その恋敵(シン・ヒョンジュン)が、現代に追って来るという設定自体にいまいち入り込めず、サブストーリー的に進行する、現代の恋人である女医(シム・ヘジン)の、死から蘇るという実験の話も、うまく絡んでいるとは思えませんでした。この作品の続編である『燃ゆる月[原題:タン・ジョク・ピ・ヨンス]』も、何年か前に東京国際映画祭で観た大作でしたが、それほど評価出来る作品とは思えなかったし、いわゆる韓国のファンタジー大作っていうのは、西洋系のファンタジー大作と違って、変なリアリティがあるために、純粋にファンタジーとして楽しめないことが、いまいちその世界に入り込めない要因になってるんじゃないかと思います。『銀杏のベッド』も、★★★。

 ファンタジーといえば、DVDで観た『ホワイトクリスマス〜恋しくて、逢いたくて[原題:カラ(※花の名前です)]』も、ソン・スンホン演ずる主人公が会う約束をしていた憧れの女性(キム・ヒソン)が麻薬中毒者(チェ・チョロ)に殺されてしまい、もう一度、その時間に戻って彼女を助けようとするというタイムスリップ物のファンタジーなんですが、こちらはなかなか良かったです。実は、『カラ』という原題はよく知っていた映画なんですが、『ホワイトクリスマス』なんてタイトルになっていたのでまったく気がつかず、キム・ヒソンの映画ということで、ひょっとしたらと思って借りてみたら、『カラ』だったというわけです。前にも書いたかもしれませんが、韓国映画ってこういうケースが多いんですよね。映画祭で公開されたタイトルや原題が、ガラッと変わって公開されたりDVDになったりしますから。『新羅の月夜』が『風林高』だったり、『ハル[一日]』が『エンジェル・スノー』だったりね。『ホワイトクリスマス』は、実はドンデン返しがありまして(まぁ、よく観ていれば、ん? と思うシーンはたくさんあるのでわかると思いますが)、私も妻もハマったドラマ『波乱万丈ミス・キムの10億作り』のキム・ヒョンジュが『ミス・キム』の激しい演技とはまったく違った静かな演技で、なかなかいい味を出してくれています。ソン・スンホンが憧れるキム・ヒソンは、相変わらず、なんなのこれはっていうぐらい美しいですしね。というわけで、これは、★★★☆。

 その、まるで人形のように美しいキム・ヒソンは、ドラマ『悲しき恋歌』や『グッバイ・マイ・ラブ』が日本の地上波テレビでも放映され、日本の一般ファンにも知られ始めているようですが(私が初めて彼女を観たのはイ・ソンジェと共演したSFファンタジースリラーの『チャグィモ』でした)、私も最近、キム・ヒソンづいたのか、映画館で観たもう1本の作品は、キム・ヒソンとシン・ハギュンが共演した『天国からの手紙[原題:火星に行った男]』でした。韓流シネマフェスティバルで観逃していたのがアンコール上映されたので、あわてて日曜日の朝、シネテリエ天神に観に行って来たんです。監督は『リメンバー・ミー』のキム・ジョングォン。脚本は、演劇『無駄骨』の作者でもあるチャン・ジンです。この作品は、チャン・ジンのこだわりがしっかり出ている、ファンタジー、というより、死んだ人は火星にいるという寓話を信じられる人たちのための映画(特にラスト)といった感じで、好きな人は好きだし、受け入れられない人は受け入れないんじゃないだろうか、という作品です。もちろん、私は大好きです。いろいろなサブキャラクターも面白いですしね。ただ、邦題の『天国からの手紙』というのは、あまりに直接的だし(というより、そのまんまじゃん! なぜかは、ぜひ観て下さい)、なんか“天国”というと、死とリアルに結びついている感じがして嫌ですねぇ。“火星”だからいいんですよ! そういったチャン・ジンのセンスを殺しちゃっている邦題ですね。タイトルは大事だと思いますよ。しかし、日本だと、『火星に行った男』というタイトルだとSFに思われちゃうかもしれませんね。

 この映画の中で一番お気に入りになったのは、シン・ハギュン演ずるスンジェの少年時代を演じている、メン・セチャンという男の子(当時12歳)です。とにかく、ちょっと垂れ目気味の表情がいいんですよ。シン・ハギュンも大好きなんですが、ずっとこの子に出ていて欲しい、とさえ思いましたもん。そういえば、韓国の子役って演技派揃いなんですよ。そのうち、乾坤一滴プラスで“韓国子役特集”でもやりたいですね。『リメンバー・ミー』も大好きですし(キム・ハヌルの演技は苦手なんですが)、この『天国からの手紙』も、★★★★です。

 もう1本、DVDで観たのは、これまたずっと観逃していたパク・チョンウォン監督の名作『われらの歪んだ英雄』です。これについては、乾坤一滴プラスの方で書きますね。何しろ、★★★★☆のお薦め映画ですから!

 というわけで、久しぶりに韓国映画の話題ばかりになってしまいましたが(しかも、プラスの方じゃなくて、こっちに書いてしまって、すんません)、今週末には、ギンギラ太陽’sの大塚ムネト氏とあんみつ姫のとまとママが出る舞台『東京物語』を観に行きますので、その話を! あ、もちろん、韓国映画も4本観てきますよ!

 と、終わろうと思ったら、突然ですが、今年の日本のオークス[GT]を勝ったシーザリオと福永祐一のコンビが、アメリカのオークス[GT]も制したというニュースが飛び込んで来ました! しかも、2着に4馬身差の圧勝でコースレコードだったとか! すごい、シーザリオ! おめでとう、祐一! 映像はまだ観れてないんですけど、今週末の競馬中継でやってくれるでしょうね。今、学院では2年生の台本実習でシェイクスピア(『マクベス』)をやってるんですが、『十二夜』の主役のヴァイオラが男装する時に使う名前が、シーザリオ(シザーリオ)なんです! まさに、男のような牝馬ですね。競馬とシェイクスピアの関係、他にもいくつかあるんですけど、それはまたの機会に!

【今週は写真はありません】

(2005.7.5)
(つづく)


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