2004年4月第4週

 ここんところ、観劇づいてます。ていうか、この一年、神奈川にいた時より観てるんじゃないですかね、舞台。いや、向こうでは知り合い関係の芝居を観に行くということが多かったんですけど、こっちに来てからは、いろんな舞台を観に行く機会に恵まれていて、まぁ、それによって知り合いが広がっていってるって感じですね。劇場に行っても、そういった演劇の輪で広がった知り合いに会うようになってきたし。それで飲みに行って演劇の話が出来るようになって、またさらに広がり……う〜ん、実にいいことですね、これは。とても一年前に福岡に来た時には考えられないことでした。やはり、仕事だけしていてもおもしろくないですしね。いや、おもしろくないというより、それじゃダメですね。学生たちにも、私自身がどんどん変わっていく中で接していってあげないといけないと思うんですよ。

 なんか、かつて活躍していたとか、キャリアはあるとかいうような、昔の名声に頼ってます、みたいなのだけで偉そうに教えるのって絶対ダメですよね。まぁ、かつての経験談を話すだけならいいんでしょうけど、私が今やってるような声優タレント科の常任の先生っていうのは、監督じゃなくてコーチですからね。どこが悪いのかということを、ただダメ出しするだけじゃなく、こういう風にすればいいんだよと、きちんと指導して直していってあげないといけないわけですからね。はっきりいって、舞台の演出だけしている方が楽ですよぉ。もちろん、演出には演出なりの苦労もありますが、舞台の場合の出来不出来は、最終的に演出家の(あるいは作家の)せいにすればすみますからね。しかし、人に教えるということは、責任重大なんです。ある一言が、その子の人生を左右してしまうかもしれませんからね。とにかく、私はまだまだ現役バリバリで、いろんなものを吸収していきたいし、それを学生たちにどんどん還元していってあげたいですね。そのためにも、私自身がたくさん芝居観に行って、映画観に行って、いろんなところに遊びに行って、おいしいもの食べて、あ、これは関係ないかな、そうそう、本当は、一番いいのは舞台をやることなんでしょうけどね。それが無理なら、せめて脚本でも書きますか!

 というわけで、前置きが長くなりましたが、先週の金曜日にも西鉄ホールに『ハルシオン・デイズ』を観に行ったんですが、まずは、先々週の日曜日に観た劇団きららの番外公演『ほね屋』から。熊本市に本拠地を置くきららは、池田美樹さんという女性の方が主宰で作・演出もなさっているんですが、さすがに女性らしい繊細な(といっても女性がすべて繊細というわけではありませんが)作り方をしていると思いましたね。演出的にとても細かいところまで気を配り、衣装も物語の進行に従って明確に表現し得ているし(池田さんが衣装も担当)、今回の番外公演は実験的要素が強かったということですが、ワークショップで作り上げていったような道具の取り扱い方をしていました。いろいろな場所や装置を、脚立や棒などの道具を使って表現したり、出番のない役者たちが舞台の横にいて、音を声で表現したりと、一緒に観に行った、こういう作り方の舞台をあまり観たことのない学生たちは、とても感動していました。まぁそれは、彼らにとってはよかったんですが、私的には、作り方も作品の内容も、野田(秀樹)っぽいなぁ、と思ってしまったんですけどね。

 役者たちはみんな熱演でしたし、なかなか巧かったと思います。表情なんかも生き生きしてましたしね。ただ、これは好みなのかもしれませんが、あまり広くない空間(ぽんぷらざホールというところでした)での、あの熱い芝居には、ちょっと引いてしまいました。それと、みんなが割と同じタイプの演技なので(台詞回しが同じ感じ)、ちょっと飽きてしまいました。でも、客演のギンギラ太陽’sの大塚ムネトさんはじめ、みんな、ものすごくまじめな感じがして(大塚さんはこういう芝居もするんだと感心しました)、とても好感が持てました。今度はぜひ、本公演を観てみたいですね。そうそう、残念なことがひとつ。チラシがねぇ、せっかくおしゃれでカッコイイ舞台なのに、実際の舞台とのイメージにギャップがあり過ぎましたね。あのチラシで行くのをやめてしまった女の子も多かったんですよ。先週も書きましたが、やはりチラシって大事ですよねぇ。

 さて、『ハルシオン・デイズ』については、今更、そんなに書くこともないでしょう。かつて知ったる鴻上ワールドだし。しかし、先週あんなことを書きましたが、いらしてたんですよ、演出家! 「自分のカンパニーですからね」といっておりました。そりゃそうですね。KOKAMI@networkの公演でした。いやぁ、何年ぶり、いや、十何年ぶりに会いました。しかし、お互いに「老けた」とか「太った」とかいう話で始まるのは、ホント、嫌ですね、なんか同窓会みたいなノリで。彼は私が福岡にいることにびっくりしてましたが、いろいろあったことを話し、先週、小須田氏と飲みに行った話もしました。まぁ、作品について一言二言いっとくなら、『泣いた赤おに』なんか使わないで欲しかったということと(決して『泣いた赤おに』という作品がよくないといってるんじゃないですよ)、最近の鴻上氏はいろんな役者とやっていますが、鴻上ワールドを表現出来るのは、その世界を一番わかっている第三舞台のメンバーだから、今回も、大高洋夫が一番よかったということですね。第三舞台の封印が解かれる時が、より楽しみになりました。

 そうそう、『ハルシオン・デイズ』は、すでに今年学院に入ったばかりの新入生数名を連れて観に行ったんですが(いやぁ、こんな早い時期から積極的に舞台を観に行きたいっていってくれるのはうれしいし、有望ですね)、鴻上氏のことを知らない彼らに、鴻上氏を紹介して握手をしてもらいました。「演劇に詳しい人に、鴻上さんと握手をしたっていったら、うらやましがられるんだぞ!」(ですよね?)といってもキョトンとしてましたが。そういえば、今年の新入生の授業が始まって一週間が経ちましたが、今年の新入生、全体的にちょっと不思議なんです。新人類(古いなぁ)とでもいいましょうか……いや、私は好きなんですけどね。それについては、いずれまた。

 さぁ、今週末からのゴールデンウィーク、去年は初めての博多どんたくに大感動でしたが、今年は久しぶりに神奈川に戻っての〜んびりして来ま〜す! で、30日(金)の夜にはNHKでヨン様特集! 2日(日)は天皇賞・春! 私の予想はリンカーンとチャクラ! 2頭とも例によってマイホースグランプリに登録している馬なんですけどね。リンカーンは一番人気になるでしょうけど、チャクラには、平成9年に勝った父馬のマヤノトップガン(この時のゴール前のパネルまで持っている大好きな馬なんです!)に続いて、ぜひ勝って欲しいなぁ!

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(2004.4.27)
(つづく)


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