先週末の土日は今年8回目の広島行き(福岡からは6回目)。約一ヵ月後に迫ったH.ARROW[Hiroshima.anri reorient workshop]のプレ旗上げ公演[11月8日(土)広島市青少年センター/ロビー劇場]の稽古で、今回は一泊で二日間しっかり集中稽古。まぁ、上演する『フラワーズ』は時間も30分で、ロビー劇場で上演するのにはちょうどよく、二ヶ月前から稽古してるんで、一ヶ月前とはいえ、ある程度は出来てきてるんだけど、基本的な身体作りの点で役者たちに差があって、いろいろ問題点も見えてきました。その辺りは、これからの一ヶ月で作っていってもらうとして……身体はねぇ、広島でもいくつか若手の劇団の芝居観たけど、舞台に立つという基本的な身体作りが出来ていない役者(といっていいのかどうかわからないけど)が多過ぎるね。それに表情も。つまり、身体の動きにしても、表情にしても、個人的な感覚だけでやってて、結局、ただお芝居をすることが好きというだけで、舞台に立っちゃってるんだろうね。まぁ、これは広島だけに限ったことじゃないと思いますが。手軽にやって、キャーキャー内輪受けしてるような芝居に客が入っているのを見ると、なんか嘆かわしくなってきますね。ま、いっか、ゴーイング・マイ・ウェイで。そのうち、甘っちょろい広島の観客を驚かせてやるような舞台が出来ればいいと思ってるんですけどね。時間はかかりそうだけど……。
さて、稽古が終われば、当然、街に繰り出すわけで、広島は秋になって、牡蠣やら松茸やらおいしいものがいろいろ出て来てるんだけど、金のない身としては、そんなものには目もくれず、なんとほとんどのつまみや飲み物が一品380円という、広島では有名な居酒屋『赤ひょうたん』(私たちが行ったのは胡町店)に突入! そこで見つけたのが、「ふぐ鍋280円」という看板。ほんとかよ? という疑惑の念を持ちながらも、まぁ、ふぐったっていろいろあるから安いふぐなんだな、でも、ふぐはふぐだし、何しろ安いんだから食べてみよう! てなことで、三人前注文しました(行ったのは4人だったんですが、ひとりは鳥取の子で、お母さんがよくふぐを釣って来て料理して食べてるからいらないということで……それにも、ほんとかよ? 毒は大丈夫なの? とかいろいろ驚いたけど)。
で、出てきたのは確かにふぐ鍋。野菜や豆腐も入ってるし、ふぐもしっかり何匹も入っています。薬味のねぎやもみじおろしもいっぱいで、これでほんとに一人前280円なんて信じられない! でした。聞いたところによると、この安いふぐ鍋はテレビのニュースでも取り上げられたとか。そういえば、ふぐは高級料理っていうイメージがあるけど、最近は養殖のふぐでどんどん安いふぐ料理屋も出来てきているっていうのを、ドキュメンタリー番組で見たことあるな。韓国の焼きふぐやふぐのメウンタン(辛い鍋)は絶品だったけど、日本の安いふぐ鍋もなかなかのものでした。ちなみに高いふぐはとらふぐで、小さな安いふぐはさばふぐというんだそうな。また、下関や博多では「ふぐ」ではなく、「ふく」といいます。
ところで、今、私はH.ARROWの『フラワーズ』を含め、10作品の芝居に関わっています(今までもいろいろ同時進行がありましたが、たぶん最高数でしょうね)。そのうちのひとつ『月光少女伝説』は、代々木アニメーション学院の二年生の舞台発表で(3クラスがそれぞれのキャスティングでやります)、まぁ、公演は12月で、本格的な稽古は10月末からなんですが(以前、東海月光舎で上演した作品なんで、一応、脚本はあります)、すでに何回か稽古をしています。で、今、動いているのが9本。ひとつはとりあえず脚本だけで(いろいろいってほしいといわれてますが)、来年2月のオキナワ月光舎の沖縄公演『KAZAOKI〜風招き〜』。これも、以前やった『風の街・ルーン』という芝居の大幅改訂版(ていうより、まったくの新作みたいなもんですが)で、一応、ベースになる物語は出来ています。といっても、脚本はまだ未完成で、何とか今週中に仕上げようと思ってるんですがね。そして、今週末の学院の体験入学でプレお披露目をすることになっているのが『外郎交響曲[ういろうシンフォニー]』。これは、発声や滑舌の練習に使う「外郎売り」の口上(役者や声優を目指したことのある人なら、一度はやったことがあるんじゃないかな)を、いろいろなバリエーションで語っていくもので、前からやりたいと思っていたことなんです(以前、月光舎でシェイクスピアの台詞をいろいろな表現法でアレンジした『シェイクスピア・ア・ラ・カルト』というのもやったことがありますが)。今週の夜、ずっと稽古があるんですが、おそらく、すぐに完成した形になるということはないでしょうから、いろいろアレンジしながら長く続けていきたいと思っています。詳しくは、とりあえずの発表後。
さて、大変なのは、11月1日・2日の学院祭で発表する一年生の舞台。3クラスをそれぞれ2チームずつに分けて、劇団名も考えさせて、つまり6劇団の競演となったわけですが、その全劇団の監修をやっているわけで……それについては、来週詳しくお伝えします! まぁ、いろいろ大変だけど楽しいんだから……しょうがないですね。
(2003.10.13)