先週の土曜日、広島に行って来ました。広島ARROWことH.ARROWの稽古のためです。福岡に来てからは2回目ですが、近いですね、福岡からは。新幹線で1時間10分で着いちゃいますから。行く前は、感覚として広島は「遠いなぁ」という感じがしてたんですが、ひと眠りもしないうちに着いちゃって、変な感じでした。そう、まだ神奈川にいる感覚が身体に染み付いているんですね。長年、身体に染み付いた感覚というのは恐ろしいもんです。だから、九州の熊本や大分というと、今でもすごく遠い感じがするんですが、実際には、今、福岡にいるわけで、熊本の阿蘇山や大分の温泉にも日帰りでも行けるんですよ。仕事に余裕が出来てきたら、福岡にいるうちに行ってみたいと思ってますが、なんか不思議な感じです。
さて、H.ARROWは昼からなので、久しぶりに稽古前に広島の原爆ドームを観て来ました。相変わらず観光客は多く、特に外人の団体とかは最初は「オーッ」などと賑やかに声を上げてますが、次第に神妙な顔付きになって、原爆ドームに向かって日本人のように手を合わせたりしていました。核保有国の人はどんな気持ちで原爆ドームや原爆資料館を観ているんでしょうかね。前にも書きましたが、原爆資料館を全世界の人が観れば、核の脅威などという馬鹿な考えは持たなくなると思うんですが。
H.ARROWの稽古場である広島市青少年センターは、原爆ドームの前、広島市民球場の隣りにあるんですが、今回、広島に何回も行っていて初めて、そこで野球[広島対ヤクルト戦]をやっているのに遭遇しました。試合はすでに始まっていて、外に賑やかな応援の声が聞こえて来るし、入口の前を通ると中の様子を垣間見ることが出来るし、もう、稽古なんかほっぽり出して「観たい〜!」と思いましたよ。H.ARROWの連中も初めてとかで騒いでましたし、広島市民球場は小さいんで、青少年センターの3階の稽古場のテラスから観客席の様子が少し見えるんです。もちろん、応援の声もガンガン聞こえて来て、しっかり稽古に集中したい人たちにはちょっとうるさいだろうな、と思いました。あ、H.ARROWももちろん、稽古に入れば集中してやりましたけど。
この広島の青少年センターというのは、広島の若い小劇場の劇団の溜まり場、というか、ここで稽古をする劇団が多く(ほとんどそうみたいです)、ロビーにいると、いろんな劇団の人間に会うことが出来ます。月光舎を辞めてから広島に帰って劇団活動をしていた人間に、H.ARROWの連中が偶然出会ったのも、ここでした。
そのロビーで、毎月一回、ロビー劇場という催しが開かれていて、今回、それにも偶然遭遇することが出来て、ちょっと観て来ました。毎回、音楽や演劇、ダンスなどのグループや個人が30分から1時間ぐらいのパフォーマンスを発表するんですが、詳しくはそのホームページがあるそうなので、それを見てもらうとして、試みとしてはとてもいいことだと思いましたね。劇場やホールを借りられないグループにとっては、こういう場で発表出来ることはとてもいいことだし、劇団同士や他のジャンルのグループとも交流が出来るし、無料なので、一般の人も気軽に見ることが出来て、こういったことに興味を持ってもらえれば観客層の拡大にもつながるし、いいことだらけですね。もちろん、運営していく方は大変だと思いますが、広島の新聞にも結構大きく取り上げられていて、やりがいはあるんじゃないでしょうか。ただ、私が気になったのは、そのクオリティの問題です。やはり、それぞれアマチュアの域を脱していない感じがして、みんなで楽しく盛り上がろうという雰囲気だけなんですね。まぁ、場所が場所だけに制限もあるとは思いますが、そこでなんかすごいことをやるようなグループが出て来たら、もっとおもしろくなると思いますけどね。H.ARROWはまだまだそのレベルじゃないので、すぐには出来ませんけど。
ところで、来週末の23日には一カ月ぶりに神奈川に戻ります。そして、23日から25日まで新宿のサニーサイドシアターでやっている『おいしい水』の公演を観て来ます。これは、月光舎のとりいちえが初めてプロデュースをする公演で、月光舎のメンバー(女優陣はほとんどかな)と月光舎にゆかりのある人たちが出演します。なんでも「ある下町の商店街を舞台に、父の遺言を巡って織り成す家族の物語」とかで、脚本は元・東海月光舎の水野印南、演出がとりいちえです。月光舎の本公演とはまた違った世界が繰り広げられそうで、私も楽しみにしています。お時間のある方はぜひ観に行ってみて下さい!
(2003.5.14)