すっかり秋らしくというか、冬の寒ささえ感じる季節になってきて、ちょっと油断したばかりに喉をやられたようで、熱は別にないんだけど、喉が痛くて声がかすれて出ないという症状に悩まされてます。まぁ、地元のジュニアワークショップもひとまず終わったし(いや、まだ発表会はあるんだけど)、今週は映画三昧の一週間になるので、おとなしくしてよっと。
なぜ映画三昧かというと、毎年この季節恒例の東京国際映画祭があるからなんです(この時期は仕事や芝居のスケジュールを空けてるんですよ)。といっても、私が観るのは韓国映画が中心で、あとアジア映画関係だけですね。今回も共催企画でコリアン・シネマ・ウィークがあって、東京ファンタスティック映画祭と東京国際映画祭を合わせると、一週間で何と11本の韓国映画が上映されるんですが、そのうち8本は何とか観れる予定なんです。あとの3本はどうしても仕事のスケジュール調整が出来なくて……ううっ、悔しい! でも、ま、それは一般公開しそうな3本なんで、いずれ観れるでしょう。
そうそう、去年上映された中で私の一番のお気に入りの『猟奇的な彼女』の一般公開がようやく決定しましたね。ニフティの映画の方でも紹介されてます。以前、乾坤一滴の2回目の時に、「私の超のお気に入りの韓国の女優にチョン・ジヒョンという方がおりまして」と書きましたが、そのチョン・ジヒョンの主演映画です。チョン・ジヒョンは『イルマーレ』という映画にも出てて、こちらはすでにビデオもDVDも出てるので、ぜひ観て下さい。私のお気に入り韓国映画のベストワンです。
で、8本のうちすでに1本は25日の東京ファンタのオープニングで観て来ました。『火山高』という映画です。これは12月にすぐ公開されるようですね。火山高という学園を舞台にしたアクション・コメディで、登場人物たちのキャラクターは割とおもしろいし、ワイヤーアクションとCGはすごいんですけど……それだけですね。同じような闘いのシーンばっかりで、ちょっと飽きます。他の7本は、すでに韓国で観た『復讐者に憐れみを』(これはちょっとスゴイすよっ! 韓国で観た時も気分が悪くなって途中で出て行った女の人が何人もいましたもん)と『オーバー・ザ・レインボー』(『イルマーレ』のイ・ジョンジェ主演の記憶喪失もののラブ・ストーリーです)の他に、『結婚は狂気の沙汰』『イエスタデイ』『達磨よ、遊ぼう』『フー・アー・ユー』『海賊、ディスコ王になる』の5本で、これはどれがおもしろいかわかりません。コリアン・ポップスの女王オム・ジョンファが主演する『結婚は狂気の沙汰』には期待してるんですけどね。
さてさて、コリアン・シネマ・ウィークの前に、先週、韓国映画同好会で観てきた『殺人蝶を追う女』の話をしておかないと。監督のキム・ギヨンは、韓国で奇才とも異才とも怪物ともいわれている人で、『下女』(代表作ともいわれている作品で、私も去年観ましたが、まさに「スゴイ!」としかいいようのない独特のゾクゾクする世界です)や『火女』(今度リメークされることが決まった)といった女シリーズや『異魚島』で有名なんですが、そのキム・ギヨン・ワールドの頂点ともいえる作品が、この『殺人蝶を追う女』なんだそうです。何が頂点かって、『下女』とかは、下女が主人を誘惑して、とストーリーもしっかりしてるんですが、この『殺人蝶を追う女』は、ストーリーからしてメチャクチャなんで、説明しようがないんですよ。まぁ、昔の天井桟敷や状況劇場のように、観た人にしかわからない世界なんですけどね(そう考えると、説明出来ちゃう芝居って、やっぱりつまらないと思うんだよねぇ)。
シーンでいえば、死んで埋められた老人が「意志の力で生きることが出来る」といって蘇ったのに身体が腐っていったり、さらに焼かれると骸骨になって現れたり、採掘現場にあった骸骨が何千年も昔の美女になって蘇って男と関係を持ったり、その絡みのシーンのバックでは韓国のお菓子がポーン、ポーンと音を立てて作られていたり、死んだ父親が巨大な蝶になって飛んでいったり、首を切られて死んだはずの男が「意志の力」で普通に生き返って女をナンパし始めたり……もう、わけのわからない怖さとおかしさのオンパレードなんですよ! 怖いシーンのはずが笑えちゃうというコワさ! これは絶対何度でもじっくり観たい映画ですね。やっぱり、キム・ギヨンファンクラブ作ろうかなぁ。ちなみにキム・ギヨンは、1998年ベルリン映画祭で回顧上映のプログラムが組まれ、ベルリンへ向かう直前、不慮の火事で78歳で亡くなったそうです。
……ああ、来週も韓国映画の話になりそうですね。すみませんねぇ。でも、みなさん も韓国映画ぜひ観て下さいな。いい作品をね。
(10.28.2002)
(つづく)