『啼く月に思ふ』が終わって一週間。体調を崩したりしてる役者もいるようだけど、わたしゃ、そんなこともいってられず(急に冷え込んでちょっとくしゃみの連発はあったけど)、翌日から『無駄骨』の顔合わせ。『無駄骨』は10月11日(金)〜13日(日)に東高円寺にあるヴァーシティホールというところでやる韓国現代戯曲ドラマリーディングの中で、私が希望して演出することになった作品(『無駄骨』の上演は13日の13:00から一回だけ。うわっ、もったいねぇ。これも幻の伝説の作品となってしまうのかなぁ)。
作者は、チャン・ジン。といっても、知らない人が多いと思うけど、韓国映画ファンなら知ってるんじゃないかな。去年、韓国で大ヒットした『殺し屋たちのおしゃべり』(『フレンズ』という日韓合作ドラマで深田恭子と共演して日本でも人気がブレイクし、丸井のイメージキャラクターもやってるウォン・ビンの初出演映画)や、一般公開はしてないけどビデオとDVDは出てる『SPYリー・チョルジン』(主演は『チング』のジュンソク役のユ・オソン)などの脚本・監督であり、ユ・ジテ主演で日本でもそこそこヒットした『リメンバー・ミー』の脚本も書いている才人。インターネット・ムービーで『極端な一日』(ビデオにもなって、5月の韓国公演の時に古ビデオ屋で発見。やっと手に入れられた)というのもあって、これがまたおもしろいんだ!
スタートは演劇で、『シュリ』で北の工作員を演じたチェ・ミンシク(今年のカンヌ映画祭で監督賞を取ったイム・グォンテク監督の『酔画仙』では主演。もうすぐ東京国際映画祭のコリアン・シネマ・ウィークで公開)の舞台の脚本・演出もしている。そんなチャン・ジンの演劇における代表作ともいえる『無駄骨』(95年エジャン文学賞戯曲部門賞を受賞)を演出出来るなんて、ホントこんなうれしいことはないんですよ、実は。だから、かなり気合入ってて、リーディング用の脚色も、何度も書き直してます。
いやぁ、おもしろい脚本ですよ。まぁ、あまり詳しいことをいっちゃうとまずいんでいいませんが、出演者は男二人と女が一人だけ。あと、ト書き(といっても、ただのト書きじゃありません)のナレーションが一人。配役は、年配の男チャン・トッペに、元・東京芸術座のをはり万造さん、若い男ユ・ダルスに、全体の顔合わせの時からその熱さが気に入った文学座の椎原克知君、そして、二人を惑わす紅一点の女ソ・ファイに、これまた迫力満点の青年座の津田真澄さん、さらに、結構重要なナレーションに、元・木冬社の南谷朝子さんという、素晴らしいキャスティング! 月光舎の役者たちもリーディングには参加することになって、他の作品には出てますが、あえて私の作品には選びませんでした。お互いにライバルってことさ、フフフ。
というわけで、16日の『啼く月に思ふ』の打ち上げも二次会で先にサヨナラし、翌日の17日、青年座の稽古場で翻訳者の青木謙介氏も迎えて初読み合わせ。といっても、上演用の脚色台本は完成してなかったので、使ったのは第一稿。やはりわかり難いところもあったし、初めてなので私もほとんど何もいいませんでしたが(いや、結構注文つけてたかな)、それでもやっぱりおもしろい。この段階でこれなら、本番は……いゃぁ、ホント楽しみです!
読み合わせの後は制作の森さんも交えてみんなで飲みに行き、いろいろ韓国の話や劇団同士の話で盛り上がりました。南谷朝子はどこかで見たと思っていたら、大鷹明良と『萩家の三姉妹』で共演、それも不倫の関係の役だったということを知り、家に帰ってビデオを見直しました。彼女は12日にやる『パボカクシ』にも出演して歌を歌うそうです。
てなわけで、脚色台本も出来た来週の稽古が楽しみなのですが、その間をぬって、26日には相鉄本多劇場で催される横浜演劇計画の第二弾『書物をめぐる演劇の冒険』にパネラーとして出演します。2月にやった第一弾では寺っちゃん(寺十吾)の芝居にも出たりしたんだけど、今回はとてもそこまで出来なくて、私は初日だけの参加ですけど、他の日の出し物もおもしろそうなので、横浜の人はぜひ行って下さい。あ、もちろん、他のところの人もね。
そうそう、19日にはタイニイアリスにチェルフィッチュの『三日三晩、そして百年。』を観に行き(「CUT IN」に私が劇評を書きます)、その帰りになんと10何年ぶりぐらいで美香に会って飲みました。いゃあ、懐かしい。ん十代になっても相変わらず可愛い美香は、『書物をめぐる演劇の冒険』に出ることになったそうで、その日は絶対観に行かなくちゃ!
21日(土)からは地元の座間市の文化センターで小学生から中学生までを対象としたジュニア演劇ワークショップも始まったんですけど、その話はまた次回に。では。
(9.23.2002)
(つづく)