「脱原発杉並宣言」第一次草案

チラシから~

脱原発杉並宣言【第一次草案】

 2011年3月11日の東日本大震災の際に発生した福島第一原発の大事故は、今も収束することができず、多くの人々に放射能の影響を与え続けています。特に、放射能の影響を受けやすい子どもたちへの健康不安は、さらに大きくなっています。

 世界有数の地震大国であり、国土面積が狭いこの日本に、廃棄物の処理技術も未だ確立しないまま、54基もの原子力発電所を設置・稼働させたことへの、私たち大人の責任は重大です。

 これまで原発建設は、国と電力会社による、情報の隠蔽、一方的ともいえる情報の操作による「安全神話」を形成させながら、札束の力を借りて、過疎地に住む人々への強引な建設合意を迫って成り立たせたものです。またこのとき、建設反対の意思を表明した人々の中には、迫害され、抑圧されて無念の涙を呑んだ人も少なくありませんでした。私たちが使う電気エネルギーは、このような住民の犠牲と苦悩の上に成り立ってきたのです。

 今回の事故後に、「原発さえなければ」と壁に書き遺して自殺した54歳の酪農家、「もう子どもは産まない方がいいのでは?」と不安な思いを抱く若者。福島県民約十数万人の人々が、故郷を追われ、家族がバラバラになり、仕事も日常生活も大きな影響を受け、厳しい生活を強いられています。これらの人々の深い悲しみと絶望や不安に思いを馳せなければなりません。また、ウラン採掘から廃棄物処理までの全過程で関連作業に従事する労働者の被曝に伴う健康被害にも注目しなければなりません。

 そして、私たちは、「原発はもうたくさんです。原発に頼らない社会を一日も早く実現しよう!」と訴えます。快適さと便利さを追求し、エネルギーの大量消費の上に成り立たせてきた私たちの暮らしそのものも見直し、転換していくことを呼びかけます。

 原発事故からの甚大な被害を根絶し、自然を守り、子どもたちの世代に安全で安心できる環境をわたしていく義務と責任が私たちにあることを忘れてはなりません。世界の人々とともに手を携えて、原発は直ちにやめ、再生可能エネルギーへの転換を本格的に推し進めていかなければなりません。

原水爆禁止署名運動の発祥の地であるこの杉並から、以下のような脱原発杉並宣言を発します。

1 原発の新規計画を全て中止して、現在の原発の計画的廃炉の速やかな実現を図ります。

2 現在稼働を中止している、すべての原発の再稼働には反対します。

3 電気エネルギーへの過度な依存の暮らしを見直し、再生可能エネルギーを重視し、エネルギー政策の抜本的な転換を求めます。

6月2日開催 主催:「杉並区住民による脱原発宣言」集会実行委員会