2006年11月第1週

 3日、4日と行われた学院祭が、ようやく終わった! 声優タレント科1年生の舞台発表も、当日の朝までゲネプロをやるチームがあったりもしたが、何とか6チームすべて、ほぼ満員の会場で無事終了することが出来た。出来に関しては、入学して半年という割には評判は良かったようだ。技術的な部分での拙さはまだまだあるが、何よりも、芝居をすることを楽しんでいる姿と一生懸命さは伝わったと思うので、良しとしたい。まぁ、スタッフワークや舞台設営などに関していいたいことはいっぱいあるが、それはこれからの課題だから、追々教えていくとしよう。

 会場は、普段は壁一面鏡張りでフローリングの床のレッスンスタジオなのだが、そこに、舞台はパンチを敷いて大黒と袖幕を吊り、客席はブルーシートで土足でも大丈夫なようにして、後ろの方を平台で上げて見やすくし、周囲を黒幕で囲った。そして、コーヒーの空き缶を利用して作った照明を吊り込み、6回路の調光器も手作りで作って、客席の後ろにオペ室を作った。完全暗転もほぼバッチリ。キャパ60(椅子席だから60だが、桟敷にすれば100ぐらいは入る)の小劇場が出来たわけだ! 実際、高い小屋(劇場)を借りて、2、3日だけの公演をするより、ここでロングラン公演をした方がいいものが出来ると思ったほどの小劇場空間になった。もちろん、現実には代アニ・横浜校のここでは無理なのだが、劇団として、こういう小劇場を持つのもいいなぁと、ちょっと思った。かつての東京キッドブラザースのシアター365のような。

 この関内小劇場(勝手に名付けた!)では、声優タレント科1年生の舞台発表の他に、2年生のサウンドドラマの発表や大道芸(アニメーター科の学生で、実際にあちこちの大道芸フェスティバルに行ってやっている子がいるのだ!)、そして、コスプレコンテストが行われ、ちゃんとした劇場風の照明効果もあって、みんな、なかなか盛り上がった。去年までいた福岡校に比べて横浜校は規模も小さいので、発表会の合間に他の会場も一通り見て回ることが出来、学生たちが作っているいろいろなものも食べたりして、なかなか楽しめた学院祭だった。

 終了後は、関内小劇場も、いつものレッスンスタジオに戻し、現状復帰よりもきれいに片付けをした後、先生たちで軽い打ち上げをし、その後、午前クラス、午後クラスそれぞれの学生たちの打ち上げ会場にちょこっとだけ顔を出し、さらに先生方で近くの沖縄料理の居酒屋“きじむな”に飲みに行き、結局、終電車でのご帰還となった。

 翌5日の日曜は、やはり学院祭で飛び回っていた疲労がかなり溜まり、肩がガチガチになって首が回らなくなっている中、マチネ、ソワレと2本の芝居を観に行く予定だった。ところが、昼過ぎ、新宿に向かうところに翻訳家の熊谷さんから連絡が入り、マチネを一緒に観る予定だった、3月に福岡でやった韓国現代戯曲ドラマリーディング『豚とオートバイ』で検事役をやってくれた矢ヶ部哲君が作・演出をする、不健康ランド@ワイワイプロデュース公演『エビモモ』の千秋楽の公演が、客が入りきれず、何十人も断っている状態なのだという。公演会場のTHEATER BRATSは、おそらく行ったことがないと思うので、どういう風になっているのかわからないが、そんな大変なところに招待で行っても悪いので、遠慮することにした。それより、前売を買っていた人とかどうするのか心配になってしまった。

 そこで、急遽、ソワレに観る予定だった公演を、マチネに観てしまおうと考え、熊谷さんにも連絡して、新宿で会うのはやめた。まぁ、昼間会って酒を飲んだら、夜の公演を観れなくなる可能性もあるし。ところが、普通にマチネは2時か3時だと思っていたその公演のマチネは、なんと1時からだったので、新宿到着自体が間に合わなかった。そこで、5時からのソワレ(これも早い!)までの間、久しぶりに新宿をブラブラした。考えてみたら、何かの用事で新宿に行くことは多くても、ただブラブラするというのはあまりない。といっても、結局、三越だったところに出来たALCOTTの上にある本屋のジュンク堂でほとんど時間をつぶしてしまった。ここはまるで図書館のように書棚が並んでいて、しかも書棚の間に椅子が置いてあり、好きな本を座って読むことが出来る。福岡のヨドバシカメラの中にあったあおい書店も確かそうだったし、最近はこういうのが増えているのかもしれない。そういえば、韓国の大きな書店は、みんなそうなっていた。

 ついでに新宿の場外馬券売り場も久しぶりに覗いた。日曜日ということで混んでいたこともあり、馬券は買わなかったが、一時期の混雑ぶり(甲州街道のところから行列が出来ていた頃もあった!)に比べて空いているような気がしたのは、やはり競馬をやる人たちが減ったことが影響しているのだろうか。それとも、電話投票やパソコン投票の人が増えたのかな。

 4時半になり、シアターモリエールに行った。ここで芝居を観るのも久しぶり。代アニ・東京校の10年ぐらい前の卒業生で、私にも教わったことがあるという小林ともゆき君が主宰している宇宙キャンパスという劇団の公演『over again』だ。8回目の公演だそうだが、観るのは初めて。今回の公演には、やはり代アニ・札幌校の卒業生で、月光舎にいた澤田友子も出演している。澤田の芝居を観るのも実に久しぶりだ。芝居は、高校時代に人力飛行機を作っていた仲間たちが、10年後、仲間の1人の葬式に集まり、再び人力飛行機を作り始めるという話で、それぞれのキャラクターの個性がうまく描かれていたし、観終わって、自分も頑張らないと、と思わせてくれる(世代的には、30代に向かってということで、私とは20年ほどギャップがあるが)、個人的に好きな話だったので、割と気に入ってしまった。もちろん、みんなの芝居もしっかりしていて、澤田以外は安心して観ていられた。あ、元・月光舎だからという意味でね。

 しかし、道産子のイモねぇちゃんだった澤田が(失礼!)、元・AV女優という色っぽい役をやれるようになるとはねぇ……いやぁ、うれしいことだ! 演技は相変わらずだったが。終わって客出しの時、小林君に「意外と、なんていったら失礼だけど、なかなか良かったし、気に入ったので、次回公演も観に来るよ!」と挨拶をした。知らない劇団や、知り合い関係で初めて観る劇団で、自ら進んで次回公演も観に行こうと思わせてくれるのは、私としてはなかなか珍しい。特に演劇的に何か凄いというわけではないが、こういう風に純粋な気持ちを思い出させてくれて、いい気分にさせてくれる芝居もいいものだ。あ、それがわざとらしい感じの、いわゆる人情喜劇とか、いかにも泣かせます、みたいなのはダメだけど。劇団宇宙キャンパスの次回公演は、来年の春から夏頃にあるそうだ。

 5時からの公演だったので7時前には終わったが、疲れが溜まっていたので、その後はどこにも寄らずにまっすぐ帰り、家でのんびりしながら『信長の棺』を途中まで観て寝た。続きはビデオに撮っておいたので、後で観る。

 さて、学院祭と先週末のことは以上だが、ずっと書いておけなかったことを簡単にまとめておく。ちょっと長くなるかもしれないが。

 10月21日の土曜日は、先々週報告したように、日暮里、秋葉原に行った後、関内ホールで、10月の劇サロで知り合った、劇団「殴りすぎじゃない?」の旗上げ公演を観た。芝居の前に『人魚』というタイトルの短編映画があり(イメージビデオに近いものだったが)、その後に『無題〜赤と龍』という、オムニバス形式で3本の芝居があった。劇団「殴りすぎじゃない?」というのは、京都の同志社女子大出身の、主宰のガブと女優の嵐ヒカリが二人で横浜に出て来て作った劇団ということで、やはり旗上げということもあり、いろいろスタッフワークなどに問題はあったが、やりたいことをやろうという意気込みは感じられた。ただ、学生劇団であればそれでもいいかもしれないが、2500円というお金を取るプロ(金を取るのはみんなプロだ!)の公演として考えた場合、少なくとも、やりたいことをしっかり観客に伝えるための技術的な部分に、もっと気を使うべきだと思った。いや、これは今回のこの公演に限ったことではないが。劇団「殴りすぎじゃない?」は、演劇というよりも、不思議な世界を垣間見せてくれるパフォーマンスとして、また、劇サロの後の会話が楽しかった嵐ヒカリ嬢の女優としての魅力も、今回の公演では充分発揮されていなかったと思うので、また機会があれば観てみたいと思う。

 その日、ちょうど芝居が終わった時に、私の携帯に、青森にいる熊谷氏から電話があり、弘前劇場との関係(来年度、韓国との演劇交流で『ソウルの雨』という芝居をやる予定)で一緒に青森に行っているパク・グニョン氏とも久しぶりに話をすることが出来(英語と韓国語で)、早く彼の作品(『青春礼賛』でも『三銃士』でも!)を上演したいという思いを強くした。

 22日は学院の体験入学でまたも関内行き。つまり、28日の土曜日もまたしても日暮里と秋葉原に行った後、学院に行って学院際の仕込みをしたので、13日間連続で休みなく関内通いになったわけだ。ついでにいうと、29日の天皇賞・秋は、馬券は買えなかったが、予想は前にお知らせした悠仁親王誕生に関係するオカルト馬券、というかサイン馬券、ではなく、優勝したダイワメジャーも、3着になったアドマイヤムーンも選んでいたのだが、(今回は3連複を狙っていた)、2着になったスウィフトカレントは無印だったので、ハズレ! 買えなくてよかったというわけだ。しかし、結局、安藤勝(アンカツ)、横山、武豊という名ジョッキー3人で決まったわけだから、この3人の組み合わせを素直に買っていれば、3連複の9.120円はおろか、3連単の60.460円も取れたわけで……なんか、前にもこんなこと書いたような気がするなぁ。その場の人気に左右されないことだな、やっぱり!

 10月の終わりには、4年ぶりに地元にいて迎えることが出来た東京国際映画祭があったが、昔、フリーだったので足繁く通った頃と違い、ごく普通のサラリーマンになった今となっては、平日の昼間に観に行けるわけもなく、結局、夜の回も残業をうまく調整して観に行くことが出来たのは、2本。しかし、その2本とも、良かったこと、良かったこと! 1本は25日に行った、イ・ジョンチョル監督、スエ主演の韓国映画『ファミリー』。もう1本は、27日に行った、アン・ホイ監督、スーチン・ガオワー主演の中国映画『おばさんのポストモダン生活』。この2本については、しっかりここで書いておこうと思ったのだが、やはり長くなりそうなので、別の機会に書くことにする。

 『ファミリー』は12月2日から一般公開も始まり、また観に行くので、その時にでも! 今回の上映では、終映後にイ・ジョンチョル監督のトークもあり、いろいろ裏話も聞くことが出来た。しかし、乾坤一滴プラスの掲示板にもちょっと書いたが、映画の最後の方は、もう、場内すすり泣きとハンカチの嵐だった! 多分、私も一人で観ていたら、声を上げて泣いてたかも。いやぁ、娘役のスエも、子役のパク・チビンもいいんだけど、何よりお父さん役のチュ・ヒョンが、実にいいんだ! この冬は、他にもいろいろ泣ける映画が多いみたいなので(韓国映画だけでなく、邦画も)、どれが一番泣けたか、いずれ報告するとしよう! 予想ではチョン・ドヨンとファン・ジョンミンの『ユア・マイ・サンシャイン』なんだけど。

 『傾城の恋』や『女人、四十。』のアン・ホイ監督の『おばさんのポストモダン生活』は、ジワーッとくる感じの映画で、何とチョウ・ユンファが楽しい役をやってくれていて、ユンファ・ファンとしては、実にうれしい! 何しろ、まるで藤山直美のようなスーチン・ガオワー扮するおばさんとベッドインしてしまい、「この年になって出来るとは思わなかったよ」なんて台詞をいってくれちゃったりするのだ! これは一般公開しないのかなぁ……いや、多分、ル・シネマとかでやってくれるんじゃないかな! いや、ぜひやって欲しい! ヴィッキー・チャオも、おばさんの娘役でいい味を出してくれている。

 というわけで、まとめて書くとどうしても長くなってしまうので、こまめに書きたいのだが、いろいろとね。今週もまた、芝居を3本と、映画と、三男のバスケの公式戦を観に行く予定! G1のエリザベス女王杯もあるし!

(2006.11.8)


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