先週末、残念ながら福岡には行けなかったが、成績表の方は何とか仕上げ、早めにチェックも終わり、とりあえず一安心。先週はそんなこんなで残業が多く(18日の体験入学の後フォローの手紙書きや夜間専科の授業もあったし)、あまり酒も飲めず、そんな時は逆に神経がピリピリしているので、家に帰って来てからも、なかなか寝付くことが出来ず、連日、家にあったDVDを夜中まで観てしまった。火曜日が『僕の彼女を紹介します』(これは、観ていなかった次男と一緒に観てしまった)、水曜日が『悪い男』、木曜日が久しぶりに『恋する惑星』。金曜日はちょっと飲んで来たので、観なかった。韓国映画が2本と香港映画が1本。どれもみな、大好きな作品で、これまでにも何回も観ている作品ばかり。そういえば先週、『グエムル』の試写会を一緒に観に行った長男と、『殺人の追憶』も観たなぁ。相変わらず、好きな作品は何度でも観てしまう。これは昔から変わらない。芝居もそう。天井桟敷の『阿呆船』なんか、わざわざ調布の大映撮影所まで2回も観に行ったし。東京キッドブラザースや状況劇場、黒テントなんかも同じ作品をまた観に行ったりしたなぁ。30年近く前の話だが。最近は……そういや、ない。ま、高いってのもあるけど。
で、23日の土曜日、秋晴れの秋分の日は、体調も戻ってきたので、いろいろまとめて出歩いた。
まずは午前中、長男が通っている座間高校の文化祭に行った。長男が1人芝居をするというので観に行ったのだ。タイトルは『小鳥ピヨ吉と王女ミンティ』。ベタなタイトルだ。彼にとっては処女作として、ずっと残るというのに(笑)。ちなみに私の処女作は、『軌跡〜ロウカス〜』。あ、小学校4年の時に書いた『本屋騒動』かな。どっちもどっちか(笑)。物語は、魔王にさらわれた王女を小鳥が救い出すという内容で、時間は20分ぐらい。1人で、語り手、王女、小鳥、魔王、愛の精の5役をやるという。何日か前から、風呂場や家の外で台詞の練習をしていて、脚本も読んでくれといわれていたが、あえて読まないでおいた。まぁ、どの程度やれるのか、まっさらな状態で観てやろうと思ったのだ。
会場はだだっ広い体育館。パイプ椅子が並べられているが、なぜかステージの前は7、8列分ぐらいポッカリ空いている。つまり、ステージから1列目の客席までは10mぐらい空きスペースがあるのだ。
ちょっと早めに行ったので、長男の1人芝居の前に、女の子5人によるダンスの発表を観ることが出来た。いわゆるヒップホップ系のダンスで、頑張ってはいたが、やはり趣味の範囲の発表という感じだった。まぁ、高校の文化祭だから、みんなが楽しんでやるのが一番だと思うし、その時は、ステージ前の空きスペースに友人たちが座り込んで手拍子を取り、楽しそうに盛り上がっていた。
長男の番になり、まばらな拍手と客席のあちこちでおしゃべりが聞こえる中、前口上から始まった。だが、マイクを使っていないので、広い体育館ということもあり、声が割れて、あまりよく聞こえない。もちろん、専門的な腹式の発声や響く声の出し方も教わっていないので、声が拡散してしまうのだ。いや、いくら私の息子だとはいえ、そんな、家で教えられませんよぉ(笑)。まぁ、それでも頑張って続けているうちに、客席も少しは静かになり、声は聞こえるようになってきた。だが、ステージ前の空きスペースのせいもあり、はるか彼方でやっている感じがして、どうも芝居に入り込むことが出来ないのだ。
脚本は、いろいろ言葉遊びもあり(長男は野田秀樹が大好きなのだ!)、歌も歌ったりして(これも、カラオケは聞こえても、歌はマイクを使っていないのでほとんど聞こえない!)、ごく一部の応援してくれている友人たちは盛り上がったりしているのだが、やがて、それ以外の高校生たちは、当然、芝居なんてものにはあまり興味はないらしく(この高校には演劇部もないし)、飽きてきて、またあちこちでおしゃべりが始まった。そんなわけで、これは体育館ではなく、教室とかでホントに観たい人たちだけを相手にやった方がよかったんじゃないかと思った。しかも、長男の次の創作舞踊部の発表を観てわかったのだが、ステージの前の空きスペースは、創作舞踊部のオープニングの集団舞踊のための空間だったのだ。それが終わったら、椅子を前に動かし、ステージのすぐ前から観ることが出来るようになったのだ。まったく、それがあらかじめわかっていたのなら、順番を変えてもらったりした方がよかったんじゃないかと、後で長男にもいった。仲間内だけでなく、在校生や一般の人たち相手にもしっかり観せたいのなら、耳掛け式のワイヤレスマイクを仕込んだり、前のスペースを何とかしたりすれば、もう少し観てもらえるものになったと思う。そうすれば、結構、おもしろがってもらえたんじゃないかなぁ、と、これも後で長男にいった。しかし、5役の変わり身は、やはり身体のキレがないので、腹筋善之介のパワーマイムの1人芝居には敵わない、って当たり前か。
まぁ、それにしても、広いステージで1人で頑張っていたし、後ろの方で在校生が「また、ミントかよ(注:ミントは長男の名前)」「目立ち過ぎなんじゃねぇの」「ちょっとなげぇよ」などといっている声が聞こえた時には、私は思わず振り向いて、「じゃあ、おめぇらに出来るかよ!」と叫んでやりたくなったり(実際はやってないが)と、相変わらずの親バカぶりで観ていたが、帰って来た長男には厳しく、「甘い!」と一言。実際、もっと稽古時間も取り、本番の段取りもしっかりやってほしかった。作品はそれなりにおもしろいのだから、卒業までにもう1回、どこかでやればいいよ、といっておいたが、はたして、どうかな……。
そうそう、長男の1人芝居の後に観た、ステージ前の空きスペースをしっかり使った創作舞踊部の集団舞踊は、凄かった! 『In 米[マイ] dream』というタイトルの、今年の全日本高校ダンスフェスティバルに出場した時の作品とかで、お米のような白い衣装を着た女子生徒たち(男子も1人いた)が踊るのだが、1人1人のダンスのクオリティがかなり高い上に、コンビネーションもしっかり取れていて、みんなの表情もいいし、これはこんなところで観せるものじゃない、つまり、おそらくこういう芸術作品にあまり触れたことのない連中相手に(いや、失礼は承知でいってるのだけど)観せてもしょうがないと思ってしまった。実際、観終わって私は感動のあまりスタンディングオベーション(Standing ovation)をしたのだが、周りはそれなりの拍手で、拍子抜けしてしまった。長男の1人芝居より、こっちのビデオを撮っておけばよかった(すまん、ミント!)と思ったぐらいだ。やはり、ちゃんとした指導者がいると違うということだろう。何か発表の機会があれば、また観に行きたい!
さて、長男の1人芝居を観た後、座間高校を出て、座間駅から下高井戸駅に向かった。お彼岸の墓参りだ。実は9月17日が母の命日で、先週、体調が悪くて行けなかったので、この日に行くことにしたのだ。下高井戸というのは、京王線の明大前の次の駅で、下北沢から井の頭線に乗り換え、明大前でまた乗り換える。ここには、石材店を営んでいる母方の実家があり、私は祖母が健在だった小さい頃、よく泊まりに行った。私は結構、おばあちゃん子だったのだ。下高井戸の話をするとまた長くなるので、別の機会に譲るが、駅の北口に出て、甲州街道を渡ったところにあるお寺が小松家の菩提寺なのだ。これまた、その話をすると長くなるのでやめるが、母が亡くなった10年前に墓を建て、元々、伊豆の韮山というところにあった小松家の墓をこっちに移した。父も、母が亡くなった半年後に亡くなったので、今は仲良くここに入っている。いずれ、私もここに入ることになるのだ。
私は、人があまり好まない、病院とか墓地とかが結構好きで、そういうところに行くと、必要もないのに、あちこち歩き回る。このお寺の墓地も、来ると落ち着くし、自分の家の墓の前だったら、ずっとのんびりしていられる(他の家の墓の前は迷惑だ)。この日も、お彼岸の墓参りの人たちがひっきりなしに訪れる中、墓を掃除し、花を挿し、線香をあげた後、母と父に持って来た缶チューハイと缶コーヒーを、まず墓に供え、お参りしてから、それを酌み交わすように飲みながら、いろいろ母や父に話し掛けていると、それまで曇りだった空が急に晴れ、陽が照ってきて、いい気分になりながら、しばらくその場にいた。
墓参りでちょっといい気分になった後、渋谷に向かった。11月に観る、シアターコクーンでやる『タンゴ・冬の終わりに』の予約していたチケットを引き取りに行くためだ。
渋谷も久しぶりのような気がする。何しろ、道玄坂を歩いていると、以前来た時と、確かに変わっている気がするのだ。その思いは、裏道に入ると、もっと顕著になった。私が育った街・下北どころか、生まれた街・渋谷も、もう私の知っている(いや、それはもう、とっくではあるのだが)渋谷ではない! ホント、渋谷でも結構遊んでた25年ぐらい前とはガラッと変わったし。あ、センター街なんか、論外! しょっちゅう、変わり過ぎ! その、歩いているのは若者ばかりの渋谷で、かわいいカップルを見つけた! 背の小さいおじいちゃんとおばあちゃんが、しっかり手をつないでヒョコヒョコ歩いているのだ。しかも、背中にはかわいいリュックを背負って! なんか微笑ましくなり、私はしばらく、その2人の後を追っかけてしまった。そして、何枚か後姿の写真を勝手に撮った(すんません)。それにしても、2人は東横線の改札口の方から、ハチ公前の方に歩き、さらに109から東急本店の方へと、元気に歩くこと歩くこと! 私は結局、東横線の改札から、またコクーンの方に戻ったところでサヨナラした。あの後、2人はどこへ行ったのだろう……。
その後、私は東横線で横浜に向かったのだが、この続きは、また長くなりそうなので、来週、報告する! 目的は横浜ではなく、仕事場のある、いつも通っている関内なのだが、その理由は……いやぁ、楽しませてもらいました!
さて、今週末の日曜日にはスプリンターズステークスと、秋競馬のGT戦が始まるし、何より、いよいよディープインパクトが凱旋門賞に出走する! NHKで夜中に放送してくれるようだし、日本の競馬史が変わる瞬間は、観逃せない! 馬券は買えないけど、しっかり応援するぞ!
(2006.9.26)