2004年1月第2週

 正月休みも終わり、2004年が始動しています。日本の今年はどんな年になるのでしょうか? 少しは景気は回復するのかな? 個人的には、昔から(かれこれ27年前からですね)、新宿の花園神社に初詣に行った年は、劇的なこと(結婚や螳螂の解散もそうだったような気がします……まぁ、結果的にはいいことですね)が起きる傾向があり、去年も久しぶりに行ったら、突然、福岡の仕事が決まったりしましたからねぇ。今年は何が起こるんでしょうか。楽しみです!

 さて、年明け、さっそくいい舞台を2本も観ることが出来て、実に幸せな気分です! それも福岡でですよ! いえ、別に福岡を馬鹿にしてるとかじゃなくて、単純に東京から遠く離れた福岡にいるのにいい舞台を観れた、ということがうれしいということです。あ、でも、今の福岡の演劇状況を考えると……その話は後ほど。

 で、1本は、先週もちょっと書きましたが、ホビロン小須田氏も出演している『止まれない12人』。大野城まどかぴあでの公演です。私は9日に行きました。もう、この舞台のおもしろさは、あっちこっちで書かれていると思いますが、とにかく役者たちのアンサンブルが素晴らしかったですね! いくらいい役者が揃っていても、それぞれがそれぞれの魅力を殺し合っていたり、それぞれの目立とう精神だけが目立っていたりと(まだまだいろいろありますが)、プロデュース公演であまりいい思いをしていない私にとって(そんなに観ているというほどでもないですけど)、今回の舞台は、いい役者たち、それぞれがそれぞれの魅力を引き立て合って、それぞれの目立とう精神がひとつの作品の中でしっかり生かされていて、まさに1+1が2ではない、まぁ、1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1が12ではなく、800ぐらいになってる感じでしたね。脚本はもちろん、相変わらず馬鹿馬鹿しくて、でも納得させられておもしろいんですが、やはり演出と役者たちの力がかなり作品を膨らましたんじゃないでしょうか。また、ゆっくりホビロン食堂を読み直そうと思います。終演後、一緒に飲みには行けませんでしたが、小須田氏にロビーに出て来てもらい、一緒に行った20名近い学生たちと写真を撮らせてもらいました。いずれは東京に出て行きたい学生たちは「東京で活躍している役者さんたちの舞台を生で観ることが出来て、一緒に写真まで撮ってもらえた!」と、大喜びでした。ありがとうございました、小須田さん! いやぁ、私、なんかすっかり先生しちゃいました、ハハハ(先生だって!)。まぁ、子供を思う親心ですね。帰りは、ひとり(未成年の学生たちを誘うわけにも行きませんから)、中洲川端にある、前から行きたいと思っていた韓国居酒屋で、おいしいトンドンチュ(酒)を飲みながら、いい芝居を観れた幸せをゆっくり噛み締めてました。至福の時です。

 さて、もう1本について報告する前に、福岡の演劇状況ですが、暮れに『無駄骨』を観に行った時、平田オリザ氏と会って話した際、彼も「北九州は演劇祭があり、芸術劇場も出来たけど、福岡は四季や博多座だからねぇ」といってたんですが、そうなんですよ、メジャーの演劇を観るにはいい環境があるんですが、演劇を育てていく環境がないんです。いや、小劇場でもいい空間はあるんですが、やはり劇の作り方の問題で、アマチュアレベルのところが多いという感じですね。あくまでもマイペースで、そんなに競わないというか、人は人、みたいな感じで、それは福岡の人の気性がそうだからなんでしょうか。しかし、今回、西鉄ホールギンギラ太陽’sという福岡の劇団で一番動員しているという劇団の公演『路線なき戦い』を観て、安心しました! 大丈夫ですよ、福岡も! なんて偉そうにいってすみませんが、「福岡にギンギラあり!」といいたい気持ちになりました。いやぁ、良かったです! 感動しました! 観る前は、どうせかぶりものの芝居だし、笑いがメインだろうし、地元の人しかわからないネタなんだろうし、前々日に『止まれない12人』も観てたので、比べちゃかわいそうだろうけど、やっぱりプロとアマチュアの違いみたいのがあるんだろうなぁ、なんて思ってたんですが、とんでもない! いえ、まるっきりその通りなんですがぁ、それだからこそ、良かったんです! 何しろ、最後の座長の挨拶が「これからも地元の人だけにしかわからない作品を作っていきます!」なんですから、実にあっぱれ! 文化というものは、生まれたその場所に根付いてこそ文化になるんですよね。

 内容は、福岡市内を走るバスと地下鉄の権力争い(もちろん、バスや地下鉄を役者がやるんですよ!)にスカイマーク・エアラインズ(もちろん、これも!)が絡んできてという、まさに地元の人にしかわからない世界(私は結構バスも地下鉄も、空港のはずれにあるスカイマークも利用してるので、実情がわかって楽しかったです)なんですが、そこにちゃんと事実を踏まえた裏付けがあって感動させてくれるんですよ! とにかく、脚本がまずよかったですね。そして、ひとり何役もやる、かぶりもの(顔は見えている)をした役者たちの表情とパワーのある声。『止まれない12人』がプロデュース公演ながらアンサンブルが良かったとするなら、ギンギラはやはり劇団ならではのアンサンブルの良さ! ゲストも多かったようですが、同じ地元の劇団ということで、しっかりコミュニケーションがとれていたんでしょうね。まぁ、あまり長々と書いても何なので、ギンギラについてはまた別の機会にしっかり書かせてもらうとして(水害を受けた嘉穂劇場とも関係があるんです)、とにかく、私はすっかりギンギラ太陽’sのファンになってしまいました!

 ギンギラから一転、翌日の12日には、北九州芸術劇場に青年団プロデュースの『夏の砂の上』を観に行き、平田オリザ氏にも会う予定だったんですが、急用が入り、小倉まで行けなくなってしまいました。う〜、残念! 北九州芸術劇場もまだ行ってないし……1月末に蜷川演出の『リチャード三世』があるので、それかな。しかし、『リチャード三世』には嫌な思い出があるんだよなぁ。その話はいずれまた。

(2004.1.13)
(つづく)


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