2003年12月第1週

 ああ、ようやく初日終わったぁ! で、明日、というか今日は楽日! というわけで、この火曜・水曜に学院の二年生の卒業公演の本番があったわけです。演目は『月光少女伝説〈博多版〉』。6年前に、今はなき東海月光舎の旗上げ公演として書いた作品を、よりわかりやすく、テーマ性をはっきりさせて、二年生の卒業への餞として改訂したものです。

 はっきりいって、初演の時より作品的にも、舞台自体もカナリ良くなってると思います。それというのも、やはり今回演じる二年生たちが頑張ってきたからだと思うんですよ。まぁ、ある意味では相乗効果というか、彼らだからこそ、私は書き直さなくてはいけなくなったということがあるんですが……それというのも、彼らは決してまだまだうまくはないし、理解力も乏しい。だから、深い表現が出来ないし、台本を深く理解出来ない部分が多い。何でも表面的に判断しちゃうんですね。

 なんか、まるで馬鹿にしてるようですが、決してそういう意図ではなく、あくまで事実としていってるだけです。何しろ、自分が年を取る毎に、学生たちみんな、ホントに子供のようにかわいく思えてくるんです。だからこそ、より厳しく接するようになってくるということもあると思うんですが。

 あ、もちろん、中には物事をきちんと見れるし、判断力もある子もいますよ。で、そんな彼らのマイナス部分を補いながら、彼らの表現力も向上させていくためにはどうしたらいいか、と考えたわけです。これまでにも、代々木アニメーション学院の卒業公演では、月光舎でやった『ピカイア』を改訂した『どこへ…』とか、『ヒラガナ/かたかな』とか、『フラワーズ』とか、その時々に応じて、ワークショップ性の強いものとか、ドラマ性の強いものとかいろいろ選んでやってきました。だいぶ前には、螳螂時代の『10月のオラトリオ』を改訂した『オラトリオ・クライシス』とか、天文館でやった『月の兎』をやったこともありましたね。そういえば、月光舎の岡村多加江は代アニの卒業公演の『月の兎』で、天文館でとりいちえがやったのと同じ役をやって入ってきたんだっけ……う〜ん、縁ですねぇ。

 で、今回は、半年間、今の二年生を見てきて、いろんなことを考えて『月光少女伝説』を選んだわけですが、まぁ、とにかく最初から大変でした。何しろ、彼らに一番足りない部分というのが、表現者に必要不可欠な、客観的に見ることが出来ないということなんですから。表現者たる者、自分がどう見えているか、声がどう聞こえているかということは意識すべきはずなのに、それがほとんどないんですよ。要するに、自分勝手! もちろん、力がある人なら、それはそれでおもしろいし、その組み合わせで考えることも出来るんですけど、未熟な彼らの「自分勝手」なんてもんはとても見れるものじゃないということが、なかなか理解出来ないんだなぁ。しかも、他人に対しては変に厳しい。揚げ足取りはうまいしねぇ。

 そういえば、昔から公演のアンケートとかで、代アニだけじゃなく、いろんな養成所の学生が書いたのとか読むと、「滑舌が悪いのが気になった」とか「声が小さくて聞こえなかった」とか「音響がうるさかった」とか「客席にお尻を向けていた」とか、なんか芝居のことじゃなく、まったくどうでもいいようなこと、あ、いえ、決してどうでもいいことではありませんね、はい……とはいえ、つまり、まったく深く観ようとしていない、自分の馬鹿さをさらけ出しているようなアンケートが多かったのを思い出しました。そういうのって、劇団関係者は結構思ってることなんじゃないでしょうかね。だから、アンケートは嫌いっていう人もいますよね。

 まぁ、そういったことも含めて、そんな見方しか出来ないというのは、おそらく、いろいろな表現芸術を観ていないからでしょうね。ただ、自分だけが楽しんでやれればいいというようなことなんじゃないでしょうか。本当は感受性が強いはずの若いうちに、いい舞台をいっぱい観て欲しいし、舞台だけじゃなく、映画でも本でも音楽でも絵画でも何でも、いろんな芸術に触れて欲しいんですけど、そういう欲もあまりないみたいで……まったく、何をしたいんだか、よくわかりません。自分でもきっとわかってないんでしょうね。だったら、単純にいろんなものに接していけばいいのに、と思うんですけどねぇ。

 しかしまぁ、今回は何とかぶっ倒れずに本番を迎えることが出来ました。終わってどうなるかわかりませんが……などと書くと、また長谷川センセに以前「過労死なんて書かないで下さいよぉ!」といわれたように、また怒られそうなので、これ以上書きません。もちろん、冗談ですよ、冗談! 数々の修羅場を経験してきた私が、この程度で過労死なんてするわけないじゃないですか! それだったら、これまで何度もしてますよぉ。

 確かに年取った分、疲れは感じますよ。今日も、朝から仕込をやって(久しぶりに脚立も乗りまくって)、いろんなところでみんなに指示出して(演出なんてもんじゃなく舞監ね)、おまけに(ってオマケじゃなく本番の担当)音響までやって、とにかく走り回ってて(まさに師走だ!)、公演が終わった時にはフラフラでした。でも、こうして帰って来て、一日遅れだけど(すみません……)原稿ちゃんと書いてるし、ちょっとやそっとのことじゃビクともしやしませんよ! なぁんも怖いもんもないしね。あ、ひとつだけあった! それは……いえない!

 さてと、これが終われば、今年度の公演はあと、2月の見えない芝居『KAZAOKI』だけだ! それも、なかなか良くなってると思うんですけどねぇ……久しぶりに新作も書きたくなってきたし、福岡の演劇界とも交流が持てそうな気配だし、『月光少女伝説』の続編を、なんて話も出て来たし(ひょっとして来年の卒業公演?)、まだまだいろいろやりまっせ! 今週末にはまた広島行きですし。

※写真はありません

(2003.12.10)
(つづく)


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